2019 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変オルガノイドを用いたドライバー変異による正常胃粘膜の初期変化の解析
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18K07016
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大上 直秀 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (60346484)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 胃癌 / 大腸癌 / 癌幹細胞 / スフェロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
進行胃癌のうち低分化腺癌は未だに予後不良の疾患であり、新規診断マーカー・治療標的の同定が急務となっている。本研究の目的は、RHOA、CDH1の変異により 特異的に発現が誘導される遺伝子を同定し、胃癌の病態解明を通して新規診断マーカー・治療開発に資することである。本年度は胃癌細胞株を材料にスフェロイドを作成し、胃癌の癌幹細胞関連遺伝子の同定を行った。スフェロイドは幹細胞を含むことが知られており、幹細胞の研究にしばしば用いられる。細胞が接着した状態と比較し、スフェロイドを形成した状態で発現が低下していた遺伝子としてZWINT、FAM111Bを同定した。 外科的に切除された大腸癌129例を材料にZWINTとFAM111Bの発現を免疫染色で検討した。その結果、ZWINT、FAM111Bいずれも非腫瘍部ではほとんど染色されなかったが、腫瘍部では明瞭な染色像を認めた。ZWINTは52%、FAM111Bは45%の症例で陽性であった。ZWINT、FAM111Bとも臨床病理学的な因子との統計学的な関連は認めなかった。KIFC1の発現も免疫染色で解析したところ、KIFC1陽性例は有意にZWINT陽性であった。さらに蛍光二重免疫染色で解析した結果、KIFC1陽性腫瘍細胞はZWINTも陽性である傾向にあった。FAM111Bについても同様に、KIFC1陽性例は有意に陽性であり、蛍光二重免疫染色においてKIFC1陽性腫瘍細胞はFAM111Bも陽性である傾向にあった。 以上の結果から、ZWINT、FAM111B遺伝子はいずれも癌幹細胞に重要な役割を担っている可能性が高く、遺伝子の機能解析に向けて準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は胃癌の病態解明を通して新規診断マーカー・治療開発に資することである。本年度の解析から、癌幹細胞に関連する2種類の遺伝子を同定した。現在機能解析中であるが、癌幹細胞において発現していることから、癌幹細胞の維持に重要な役割を担っていると考えられる。これらの遺伝子の阻害剤は新規癌治療薬として期待できることから、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は胃癌の病態解明を通して新規診断マーカー・治療開発に資することである。今後はZWINT、FAM111Bの機能解析を行い、これらの遺伝子が癌幹細胞の維持にどのような役割を担っているのかを明らかにする。さらに、これらの遺伝子の阻害剤を癌細胞に投与し、治療薬としての可能性も検討する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により、siRNAの納入が遅れているため。次年度にsiRNAの購入に使用する予定である。
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Research Products
(14 results)