2019 Fiscal Year Research-status Report
骨髄異形成症候群の発症メカニズムに与える活性酸素(ROS)の影響
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18K07073
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鬼塚 真仁 東海大学, 医学部, 准教授 (80366012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八幡 崇 東海大学, 医学部, 准教授 (10398753)
石井 恭正 東海大学, 医学部, 准教授 (20548680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Sdhc変異マウス / ROS過剰産生 / 骨髄異形成症候群 / myeloid-skewing |
Outline of Annual Research Achievements |
Sdhc変異マウスおよび野生型マウスの末梢血、骨髄を経時的に評価したところ、変異マウスは3か月齢時点ではごく軽度の貧血をきたすのみだが、徐々に末梢血中リンパ球分画の減少や骨髄における造血幹細胞分画の数的増加などの加齢マウスに類似した造血が明らかになり、その後末梢血中に未熟な骨髄球系細胞や異形成のある細胞が増加し、骨髄異形成症候群様造血を呈した。24か月齢のマウスでは骨髄内血液細胞のアポトーシスが亢進している一方、脾臓で代償的に造血が行われ、脾腫を認めた。 幹細胞自体へのROS蓄積が老化造血の原因であることを確認するために、若年変異マウスと野生型マウスの骨髄を1:1で混合し、致死量放射線照射後の別のレシピエントマウスに骨髄移植を行い、変異マウス由来の造血幹細胞の移植後キメリズムが有意に低く、またmyeloid-skewingした造血を呈することを確認した。さらにこれらレシピエントの骨髄細胞を別のレシピエントに継代移植したところ、変異マウス由来のキメリズムはexhaustionして造血再構築されなかった。これらにより、造血幹細胞のミトコンドリア複合体IIの変異によってROSが過剰産生すると造血幹細胞は機能障害を起こし、長期再構築能を失うとともに、老化造血を呈することを明らかにした。 次に、致死量放射線照射後のレシピエントマウスに、変異マウスの骨髄のみ、もしくはコントロールマウスの骨髄のみを移植し、血液細胞を完全にドナー由来のものに置換したのちに末梢血、骨髄を評価した。Progenitor cellを電子顕微鏡で観察すると、ミトコンドリアのクリステ消失がみられ、過剰なROSによって形態的異常を呈することを確認した。これらにより、造血再構築ストレスによって変異マウス由来の造血幹細胞が移植後早期から老化造血、機能障害、骨髄異形成症候群様造血を起こすことを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ROSの蓄積から細胞形態の異常を確認している。骨髄異形成症候群に特有な形態異常が確認された。今後、clonal hematopoiesisの存在を評価するため、網羅的な遺伝子変異解析の結果が伴えば、我々の仮説の大部分が証明されることになるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、遺伝子変異解析を次世代シークエンサーにより行い、clonal hematopoiesisの存在を評価解析し、ROSが蓄積されるSdhc変異マウスに移植されたwild typeの造血幹細胞が非移植群と比較し、有意な変異を多く獲得していることを確認する。この結果によって、論文作成が可能となる。
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Causes of Carryover |
これまでに獲得研究費の大部分を消費し、比較的順調に研究成果が得られている。論文化に焦点をあてるため、最終年度は当初より少額の予算で設定していたものの、若干の追加実験を必要としているため、2019年度予算を翌年度分とあわせて使用することを計画しています。
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