2018 Fiscal Year Research-status Report
熱帯熱マラリアのダイナミクス~多様性は媒介蚊の多様性によって維持される?
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18K07089
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
二見 恭子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30432983)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 西ケニア / Anopheles gambiae / 熱帯熱マラリア / 集団解析 / KEMRI / 調査許可申請 / 種構成 / 年変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、ケニアでの調査許可取得のための打ち合わせを行うとともに、これまで採集されてきたサンプルリストの確認と解析サンプルの検討、さらに一部のサンプルについては、nested PCRによるマラリア原虫の検出を行なった。 本研究は、ケニア中央医学研究所(Kenya Medical Research Institute, KEMRI)との共同研究として行うため、KEMRIの調査許可を取る必要がある。そこで、5月に研究所を訪問して共同研究者であるDr. Njengaと調査許可申請の方法について相談した。 これまで採集されてきたサンプルのリストを研究協力者から受け取り、地域、サンプル数、種構成などから、どのサンプルを解析に用いるかの選定を行なった。2006年から2011年にかけて、蚊帳が広く利用されるようになり、それに伴ってAnopheles gambiae complexの種構成が変化したと考えられる。そこで、この期間中に継続的に蚊の採集が行われた7地点(Mbita, Nyamanga, Kaugege, Mfangano, Takawiri, Kibuogi, Ngodhe)を解析の候補とした。候補とされた計14,631個体のうち、すでに9305個体の解析が終わっており、210個体から熱帯熱マラリアが検出されている。今後は残りのサンプルについて、解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査許可申請が遅れている。過去に採集されたAnopheles gambiae complexからのマラリア原虫検出であれば、これまでのプロポーザルで許可された研究であるが、原虫の集団解析は新たなプロポーザルが必要となった。そこでプロポーザルの執筆を行なっているが、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Nested PCRによるマラリア原虫検出の手技を現地スタッフが十分身につけたので、2019年度は選定したELISAサンプルからのDNA抽出と熱帯熱マラリア原虫の検出、及びそれ以外の選定した蚊サンプルについても原虫の検出を行う。5,326個体についてマラリア原虫の検出、3,775個体についてはPCRによる蚊の種同定を行う。同時にプロポーザルの申請を行う。 また、2018年度のデータ解析により、対象地点の過去の感染率変動を認めた。これらについて、より詳細な解析を行い、学会での発表を検討する。
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Causes of Carryover |
2018年度は、過去のデータの解析と調査許可申請についての研究打ち合わせに時間を要した。そのため、サンプルの選定は行えたが、種同定やマラリア原虫検出用の試薬を当初の予定よりも消費せず、それらの追加試薬の購入を見送ったため、次年度使用額が生じた。 2019年度は、過去の熱帯熱マラリアポジティブなELISAサンプルからのDNA抽出と、マラリア感染を確認していないサンプルからのDNA抽出及びマラリア原虫検出を行う予定のため、そのための試薬の購入に充てる。また、現地スタッフが一人退職したことで実験の人手が不足するため、現地で実験助手を一人雇うことを検討しており、その場合は謝金の支出を予定している。また、過去のサンプルの解析から明らかになった各地のマラリア媒介蚊の種構成について、年度末に衛生動物学会での発表を予定しているため、その旅費を見込んでいる。
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