2019 Fiscal Year Research-status Report
熱帯熱マラリアのダイナミクス~多様性は媒介蚊の多様性によって維持される?
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18K07089
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
二見 恭子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30432983)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | DNA抽出方法の確立 / DNA抽出 / ID-PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、過去に採集されたサンプルの整理・確認、ELISAサンプルからのDNA抽出法の確立、蚊サンプルからのDNA抽出を主に行った。 まず、ELISA用に処理されているサンプル、抽出されず頭部・胸部に解剖された状態で保存されているサンプル、DNAとして抽出されているサンプルが、過去のデータシートと一致しているかの確認を行った。その結果、未処理とされていたサンプルの一部がすでにELISA用に処理されていることなども明らかになり、データシートの修正などを行った。 整理されたサンプルについて、まずは成虫胸部からのDNA抽出を始めた。ナイロビでDNA抽出及びPCR作業を行う予定であったスタッフが退職したため、新たにインターンを一人雇用し、抽出手順を指導後、DNA抽出を進め、同時に研究代表者もナイロビに滞在し、ELISAサンプルからのDNA抽出法について検討した。Protease Kとエタノール沈殿による抽出QIAGENのDNA抽出キットによる抽出を試したところ、Protease Kとエタノール沈殿による抽出法が最も効率よくDNAを回収し、さらにPCR阻害物質に強いポリメラーゼを選択することでPCRがよくかかることも示された。そこで雇用したスタッフに種同定のためのPCR法(ID-PCR)を指導し、作業を任せたが、研究代表者の帰国後にPCRが働かなくなったため、PCR作業は中断し、その後、次の訪問で抽出を進める予定であったが、COVID-19の感染拡大の影響で3月に日本からケニアへの入国が禁止された。さらに、ケニア内での移動制限のために研究所が閉鎖されており、現在は作業が停止状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
作業を任せる予定だったスタッフの退職が、最も大きな遅れの原因である。現地のサンプルの状況などを把握するため、時間を費やし、新規スタッフの雇用が遅れた。また、雇用したインターンはPCR等の経験がなく、研究代表者がナイロビを訪問して指導する必要があるが、予定していた3月のケニア訪問がCOVID-19の感染拡大の影響で中止になり指導が終わっていない。まずは蚊生体からのDNA抽出を進める予定であったが、研究所閉鎖のために現在は作業が停止しているため、遅れている状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19が収束し、ケニアへの入国が許可され研究所が開所次第、研究代表者が渡航してスタッフにPCR作業を指導し、引き続き現地スタッフに抽出を続けてもらう。2020年度中に、蚊及びELISAサンプルからのDNA抽出、PCRによる種同定、マラリア原虫検出PCRを予定している。
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Causes of Carryover |
当初の予定では原虫の集団解析をスタートさせる予定であったが、スタッフの新規雇用や実験指導などのために作業が遅れ、未だ解析に至らないため、その分の試薬代が残っている。 次年度もスタッフの雇用及び研究代表者のケニア渡航が必要なため、それらに充てる予定である。
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