2019 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子変異陽性肺癌におけるheterogeneityが治療効果に与える影響の解明
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18K07271
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
赤松 弘朗 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10646582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 信之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60298966)
洪 泰浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80426519)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リキッドバイオプシー / EGFR遺伝子変異 / 非小細胞肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
多施設共同研究(WJOG8114LTR試験)において末梢血検体から抽出した腫瘍由来DNA(tumor-derived, cell-free DNA, cfDNA)について、EGFR感受性・耐性遺伝子に関する高感度法(digital PCR法)を用いた解析を行った。この中で、治療開始後4週時点でのcfDNA減衰の有無が長期予後に影響する事を報告した(Akamatsu H, Koh Y, Yamamoto N, Lung Cancer 2019)。一方でcfDNAを用いた増悪予測がCTなど画像での増悪判断に比して感度が優れるという事は示せなかった。解析時点での増悪症例がそれ程多くない事もあり、増悪予測ツールとしてのcfDNAの意義については今後の検討課題である。また、本研究の副次解析として、exon19欠失のバリアントについて次世代シーケンサを用いて解析し、これらの差異がEGFR阻害剤の有効性に影響を与えることを報告した(Tokudome N, Akamatsu H, Koh Y, BMC Cancer 2020)。 当院で行ってきた前向き観察研究に関しては94例の症例登録を行った。高感度次世代シーケンサーによる検出系確立のため、最初の12例についてAVENIO ctDNA Surveillance Kitとdigital PCRの比較を行い、それぞれ12例・11例でEGFR遺伝子変異が検出されたことから、両者の感度は同程度と判断した。94例全体について、治療開始時・4週後での検体採取とDNA抽出は全例で終えたが、2020年4月時点で60例が無増悪の状態であり、増悪時の検体収集・解析には至っていない。これらの治療開始時期から推定するに、本年中に多くの症例が増悪すると考えられるため、適宜増悪時検体の集積を進めつつ解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多施設共同研究の検体を用いてcfDNAの早期減衰が長期治療効果予測に有用であることを示す一方で、従来EGFR阻害剤の感受性が良好と考えられてきたexon19delのvariant間で有効性に大きな差が存在する事を示せた。これらについてはいずれも予定通りに進捗し、成果は英文誌に報告済である。 高感度次世代シーケンサー用いた治療経過中のcfDNA減衰については、別の医師主導治験においてオシメルチニブ+ラムシルマブ治療を行ったEGFR遺伝子変異陽性の3例について測定を行い、画像上の奏効に先行して治療開始後2週間・4週間でのcfDNA減衰が生じていることを確認している(小澤、赤松、洪、山本、肺癌学会2019)。 観察研究については、登録期間内に予定を上回る症例数を登録でき、高感度次世代シーケンサーとddPCRとの感度が比較可能であることも確認した。登録症例94例の検体回収状況は、登録時;94例、開始後4週間;92例となっており、いずれもDNA抽出を終えているが、増悪時については当初の予想を越え無増悪の症例が依然62例存在しており、収集が完了していない。本年に多く発生すると考えられる増悪検体の収集完了を待って解析を開始し、臨床情報の収集は適宜行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
観察研究登録例では多施設共同研究と異なり様々なEGFR阻害剤を用いており、先の研究で示された長期予後のサロゲートマーカーとしての治療開始4週時点でのcfDNA減衰が薬剤間で異なるのか、を検討したい。検体収集が済んでいない無増悪例については、2019年に治療開始となったものが大多数を占めるため2020年内に大半が増悪を呈すると考えられるため随時検体収集する。これらの臨床情報収集は既に全例でアップデートされており、検体の解析が完了次第、突合可能な状況となっている。
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Causes of Carryover |
多施設共同研究で得られた知見について査読有り論文2報として報告したが、その際の出版費用が当初予想よりかさんだため。
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Research Products
(25 results)