2019 Fiscal Year Research-status Report
In silicoによるPD-1/PD-L1阻害活性を持つ低分子化合物の同定
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18K07315
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
芦澤 忠 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (10443441)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 吉伸 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (00305004)
安藤 隆幸 静岡県環境衛生科学研究所, 医薬食品部, 主査 (40402226)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PD-1/PD-L1 inhibitor |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度において、強いPD-1/PD-L1結合阻害活性を示す化合物の中から2種(化合物A、化合物B)について、in vivoでの有効性を確認するために我々が開発したPD-L1陽性ヒトリンパ腫SCC-3細胞を移植したヒトMHCダブルノックアウトNOGマウス系による評価を行った。それに先立ち、両リード化合物の経口投与における血漿中濃度について、正常マウスを用いて検討した結果、リード化合物Aは投与後30分を最高とする血漿中濃度が確認されたが、リード化合物Bは血中での不安性が示唆された。その結果を踏まえて両化合物による腫瘍の増殖抑制効果を検討した結果、リード化合物Aでは統計的にも有意な腫瘍の増殖抑制活性や腫瘍内浸潤免疫細胞(TIL)の蓄積が確認された。一方、リード化合物Bでは、血中での不安定性を考慮して投与用量を設定したが、中程度の腫瘍増殖抑制活性であった。なお、リード化合物Aについては、ゲノム編集でPD-L1をノックアウトしたヒトリンパ腫SCC-3系において、親株に比べて抗腫瘍性が低下する結果が得られ、その作用メカニズムにPD-L1経路が関与していることが示唆された。一方、細胞レベルにおけるPD-1/PD-L1結合阻害剤の評価系として汎用されているキットでは、対照薬BMS-1166(Oncotarget,, 8, 72167, 2017)と同様なT細胞の活性化を示すことが明らかとなった。現在、両リード化合物の知財化について、周辺化合物の合成展開とともにPD-1/PD-L1特異的ELISA系等での評価を進めており、特許化の可能性のあるものは特許出願を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PD-1/PD-L1特異的ELISA系での2次スクリーニングにおいて、対照薬BMS-1166等と同等以上のPD-1・PD-L1結合阻害活性を示す複数個の化合物の細胞レベルにおける解析を進めた。これらの化合物は、細胞レベルにおいてもPD-1/PD-L1チェックポイント分子によって低下したT細胞の活性化を示すことが明らかとなった。現在、特許申請状況や周辺化合物の調査とともに今後の合成展開等についても検討を進めている。 選択された構造が異なる2つのリード化合物について、抗PD-1抗体及びBMS-202の治療モデルとして報告[(Clin Cancer Res, 23, 149, 2017) (Biomedical Res, 40, 243, 2019)]しているヒトMHCダブルノックアウトNOGマウス系において評価を行った。リード化合物Aは経口投与において50%以上の腫瘍の増殖抑制活性を示すとともに腫瘍内浸潤免疫細胞(TIL)の解析を行った結果、その作用機作に免疫学的な作用を示唆することが明らかとなった。また、リード化合物Aは抗腫瘍性を示唆する血中濃度が正常マウス及びヒト化担癌マウスにおいて確認された。さらに、リード化合物Aはゲノム編集により作製されたPD-L1ノックアウト細胞株に対する抗腫瘍性が低下した結果は、その作用機作にPD-L1に及ぼす影響が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
見出されたリード化合物A及び化合物Bは、直接的な細胞障害活性が弱く、細胞レベルにおけるPD-1/PD-L1阻害活性について、BMS-1166以外のPD-1/PD-L1結合阻害剤や抗PD-1抗体等を対照薬とした高次評価を推進する。また、両化合物は大量合成が容易であり、その周辺化合物の合成展開を進めるが、その中で経口投与かつ生体内移行性等が優れた新規候補化合物を選択する。その候補化合物については、ヒトMHCダブルノックアウトNOGマウス系を利用して治療した担癌マウス腫瘍内の免疫学的な解析を行う。さらに、最終化合物の作用メカニズムについて、物理学的な解析、生化学的解析及び薬効薬理学的な解析等を行う。最終的には、新規PD-1/PD-L1結合阻害剤の知財化について、また特許性の可能性のある阻害剤の特許出願を行う。
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Causes of Carryover |
当予算によりPD-1及びPD-L1の性状解析を行ったが、次年度使用額が小額生じた。そこで、PD-1あるいはPD-L1と阻害薬との複合体化における物理化学的測定に関わる予算として使用する。
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[Journal Article] Claudin-2 binding peptides, VPDSM and DSMKF, down-regulate claudin-2 expression and anticancer resistance in human lung adenocarcinoma A549 cells.2020
Author(s)
Nasako H, Akizuki R, Takashina Y, Ishikawa Y, Shinoda T, Shirouzu M, Asai T, Matsunaga T, Endo S, Ikari A.
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Journal Title
Biochim Biophys Acta Mol Cell Res.
Volume: 1867
Pages: 118642
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Antitumor activity of the PD-1/PD-L1 binding inhibitor BMS-202 in the humanized MHC-double knockout NOG mouse.2019
Author(s)
Ashizawa T, Iizuka A, Tanaka E, Kondou R, Miyata H, Maeda C, Sugino T, Yamaguchi K, Ando T, Ishikawa Y, Ito M, Akiyama Y.
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Journal Title
Biomed Res.
Volume: 40
Pages: 243-250
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Impact of combination therapy with anti-PD-1 blockade and a STAT3 inhibitor on the tumor-infiltrating lymphocyte status.2019
Author(s)
Ashizawa T, Iizuka A, Maeda C, Tanaka E, Kondou R, Miyata H, Sugino T, Kawata T, Deguchi S, Mitsuya K, Hayashi N, Asai A, Ito M, Yamaguchi K, Akiyama Y.
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Journal Title
Immunol Lett.
Volume: 216
Pages: 43-50
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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