2018 Fiscal Year Research-status Report
社会的行動に障害をきたす認知症の発症メカニズムの解明
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18K07354
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
丸山 敬 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (30211577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 圭介 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10435860)
柳下 楠 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (70799189)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デグー / アルツハイマー病 / タウ |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症の中でも、アルツハイマー病は認知機能障害を呈する老年性認知症で、Aβの凝集物と過剰にリン酸化されたタウタンパク質の蓄積物を特徴的な病理所見として認められる。我々は自然に近い条件下でアルツハイマー病様の病理と認知機能障害を呈するモデル動物として、チリ原産の齧歯類デグーに着目した。デグーは、過剰発現などの遺伝子改変を行うことなく、野生型でヒトの発症過程と同様にAβやタウが蓄積することが確認されている。また、デグーは個体間でのコミュニケーション能力が非常に高く、社会性の検討にも有用なモデルである。アルツハイマー病を始めとしたタウオパチーの発症機構を解明するために、ヒトの発症に近いデグーの脳内におけるタウの発現様式を明らかにし、デグー型のタウタンパク質のアミノ酸配列を同定しその特質をアイソフォームごとに解析した。 若齢と老齢のデグーの脳を単離し、抗タウ抗体を用いてウエスタンブロットにてタウの発現様式およびリン酸化度合を検討した。このことより、若齢個体に比べて老齢のデグーではリン酸化タウの増加が認められた。 更に、デグー脳破砕液から単離したmRNAを逆転写して得られたcDNAを用いて、タウアイソフォームのクローニングを行った。発現していたタウの配列をサンガー法により同定し、NCBIデータベースに登録した。また、同定したタウとリピート配列を一部削除し作成したタウのアイソフォームとを使って、細胞形態に対する影響を検討した。各アイソフォームをそれぞれ非神経細胞であるCOS7細胞に発現させ、細胞の形態を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、タウのアイソフォームの配列を取得し、細胞形態における影響を検討した。また、デグー脳内で発現するタウの凝集度合やリン酸化度合について検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は神経細胞系統の細胞、例えばマウス神経芽細胞腫であるNeuro2Aなどを用いて、タウのアイソフォーム間の細胞形態に対する影響を検証する。 また、社会性に深く関係しているシナプス関連分子とタウの各アイソフォームとの相互作用を検討する。
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Causes of Carryover |
効率の良い実験を心掛けたため、消耗品費を当初の予定より抑えることができたため
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Research Products
(1 results)