2020 Fiscal Year Annual Research Report
The role of fatty acids in pain modulation.
Project/Area Number |
18K07399
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
小崎 康子 金城学院大学, 薬学部, 教授 (20126882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北森 一哉 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (80387597)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 痛覚過敏 / 高脂肪食 / 脂肪酸 / Ffar1 / ドコサヘキサエン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エネルギー源として位置づけられている脂肪酸について、痛覚系におけるシグナル分子という観点からその役割に注目したものである。 今年度は、SHRSP5/Dmcrラットに24日間高脂肪・高コレステロール食(HFC)を摂取させて痛覚過敏を観察した。24日摂取の場合も、14日摂取と同程度の痛覚過敏を発症することが判明した。ガスクロマトグラフ法により測定した血清中脂肪酸含量については、高脂肪食10,14,24日間摂取群を通常食群と比べると、16:0(パルミチン酸)と18:1(オレイン酸)の有意な増加、20:4n-6(アラキドン酸)と22:6n-3(ドコサヘキサエン酸、DHA)の有意な低下が検出された(p<0.05 by t-test)。これらの脂肪酸の中にこの痛覚過敏の誘起に拘わるものがある可能性がある。 DHAに親和性が高い長鎖脂肪酸受容体Ffar1がSHRSP5/Dmcrラット視床下部・延髄にも発現していることをRT-PCR法により確認した。DHAが脳内で脂肪酸受容体Ffar1を介してβ-エンドルフィンを放出させ、疼痛を抑制することを示唆する報告がある(西中ら、2013)。HFC摂取による血中のDHAレベル低下が、血液脳関門を欠く視床下部・延髄のFfar1を介して下行性疼痛抑制系を修飾(抑制)したことにより痛覚過敏が生じた可能性がある。 DHAにより活性化されたFfar1の細胞内伝達機構を調べるため、ヒトFfar1を安定発現する細胞株を樹立した。cAMPレポーター遺伝子とCaイオン指示薬を用いた実験により、添加したDHAは、Ffar1を介してcAMPの上昇と細胞内Caイオンの上昇を生じることを観察した。DHAはFfar1に共役するGsとGqタンパク質を活性化し、シグナル分子として疼痛抑制系を修飾したものと考えられる。
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