2019 Fiscal Year Research-status Report
血清肝性リパーゼ測定法の臨床意義の確立とその臨床応用
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18K07484
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小林 淳二 東邦大学, 医学部, 客員教授 (60302577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 克行 女子栄養大学, 付置研究所, 客員教授 (10444051)
多田 隼人 金沢大学, 附属病院, 助教 (90623653)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肝性リパーゼ / 甲状腺ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、肝性リパーゼ(HTGL)測定の臨床意義の一つとして、甲状腺機能との関係について検討を行った。甲状腺機能と脂質代謝との関係はよく知られ、甲状腺機能低下症により血清脂質が高値になる。 更に同疾患でHTGL低下を示唆する過去の報告がある。しかし従来のHTGL測定法では、測定検体採取のために被検者にヘパリン静注が必須であり、数多くの症例での検討は不可能であった。我々は、ヒトHTGLに対する新たなELISA測定法を確立し、ヘパリン非投与下の血中HTGL濃度測定を可能にした(J. Lipid. Res.2017; 58: 1591)。今回、健常人を対象に血中HTGL濃度の正常範囲分布と甲状腺機能との関係について検討した。 方法)高崎市内の病院で健診を受けた200例(男女それぞれ100例、平均年令,男49歳、女性52歳)を対象に通常の採血をし、血中脂質関係項目、甲状腺ホルモンならびにHTGL濃度を測定した。 結果)男女それぞれ100名のHTGL濃度の分散値から、男性が女性に比べて有意に高いHTGL濃度を示した(中央値;男性63 ng/mL, 女性52 ng/mL)(P=0.001)。また女性が男性よりもTSHが有意に高値(P<0.001)を示し、FT3は男性が女性よりも有意に高値(P<0.001)を示した。甲状腺ホルモンとHTGL濃度の関係では、HTGLが男性においてTSHと負の相関(P=0.03)を示したが、女性では有意な相関はなかった。男女ともHTGLとFT4, FT3との相関は認められなかった。 HTGLとTGの相関は男女いずれも認められなかったが、HDL-Cとは男性において有意な負の相関 (P=0.03)を認めた。 結語)HTGLはTSHと負の相関を示すことから甲状腺機能とHTGLに密接な関係がある可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究タイトルは”血清肝性リパーゼ測定法の臨床意義の確立とその臨床応用”であり、本年度は血清肝性リパーゼ測定法と甲状腺機能との関係を明らかにすることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は血清TGの代謝因子として重要なLPL, GPIHBP1, ELと血清肝性リパーゼ量との関係を明らかにしていく。また冠動脈硬化症患を対象とし血清肝性リパーゼ量と冠動脈硬化の重症度(SYNTAX score)との関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度は学会を使用しての学会出張のための出費が少なく少額の余剰となった。次年度は最終年度でありこの残余を使用し論文作成、投稿費として使用する予定である。
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Research Products
(12 results)