2019 Fiscal Year Research-status Report
脳内異常蛋白質のGlymphatic系を介した排出経路と脳内播種の解明
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18K07507
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊藤 義彰 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90265786)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安部 貴人 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (30365233)
武田 景敏 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (90445015)
竹内 潤 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 医員 (20771819)
三野 俊和 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (60597566)
長谷川 樹 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 医員 (90793753)
木村 裕子 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 前期臨床研究医 (20815394) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アストロサイト / ネットワーク / エンドフット / アミロイドベータ / アルツハイマー病 / 血管周囲腔 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度はアミロイドβ(Aβ)の伝播について、脳表投与後の動態を観察し、Aβが血管周囲アストロサイトのendfootに沿って脳実質に拡散していくことを報告した(脳循環代謝学会、脳卒中学会)。 これまでの仮説では血管周囲腔glymphaticsを介してAβが脳実質からくも膜下腔さらには硬膜リンパ管を介して頭蓋外へ排出されると考えられていた(Nedergaardら)。本年度の我々の研究では、Tie2-GFPマウスの脳表に滴下した50μM のAβ(HiLyte647-Amyloid β1-42 (AnaSpec, Inc.) )は、皮質動脈周囲に移動、さらに穿通動脈を取り囲むアストロサイトのendfootを伝播することが初めて観察された。血管周囲のアストロサイトに取り込まれたAβはさらに深さ150μmの毛細血管周囲アストロサイトのendfootまでsyncytiumを介して伝播し、最終的には実質内のアストロサイトに移動することが確認された。 一方、脳表にMW2,000のTRITC-デキストランを投与した場合は、穿通動脈の血管周囲腔に流入した後、実質内毛細血管、静脈の血管周囲腔へ拡散した。こうした移動はその速度から、水流を介した能動的運搬ではなく、拡散と考えられた。また低分子のデキストランは血管周囲腔から脳実質に徐々に移行する様子も観察された。 Aβが高濃度にて描出される細胞の同定のため、SR101を腹腔内に投与したところ、早期には血管内が描出され、30分以降、緩徐に血管周囲のアストロサイトendfootが描出された。緑蛍光を発するHiLyte488-Amyloid β1-40 (AnaSpec, Inc.)を脳表に投与したところ、同様に血管周囲から脳実質にかけての細胞が描出され、これらの細胞はSR101とcolocalizeしていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミロイドベータ(Aβ)の脳表から大脳皮質深部にかけての移動を二光子顕微鏡にて明らかにすることは成功した。またAβの移動経路がアストロサイトのシンシチウムを介していることは新たな発見であり、驚くべき結果であった。このアストロサイトの同定もSR101を用いて順調に行えた。 問題点としては、蛍光ラベルされたAβの細胞内移動が蛍光ラベルや溶剤によって影響を受けている可能性を除外する必要がある。すなわち蛍光ラベルが大きいため脂溶性が高くなり細胞内へ移行しやすくなった可能性を除外する必要がある。Aβは血液脳関門にてLRP1チャネルを介して内皮細胞から排出されることから、このチャネルを介してアストロサイトに取り込まれる経路が最も有力である。これに対する解決方法としては、蛍光ラベルを変えてAβの動態を追跡する方法があり、2020年度にかけて実施していく。 またアストロサイトのネットワークにはギャップジャンクションを介していることが知られており、今後はギャップジャンクションを構成するconnexinを阻害して、Aβの移動を評価する必要がある。 さらに脳実質内に投与したAβが周囲のアストロサイトに取り込まれるかを検討する必要もある。
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Strategy for Future Research Activity |
アミロイドベータ(Aβ)が、アストロサイトのシンシチウムを介して脳表から大脳皮質深部に搬送されることは予想外の驚くべき結果であった。 問題点としては、蛍光ラベルされたAβの細胞内移動が蛍光ラベルや溶剤によって影響を受けている可能性を除外する必要がある。すなわち蛍光ラベルが大きいため脂溶性が高くなり細胞内へ移行しやすくなった可能性を除外する必要がある。Aβは血液脳関門にてLRP1チャネルを介して内皮細胞から排出されることから、このチャネルを介してアストロサイトに取り込まれる経路が最も有力である。 これに対する解決方法としては、蛍光ラベルを変えてAβの動態を追跡する方法があり、2020年度にかけて実施していく。 またアストロサイトのネットワークにはギャップジャンクションを介していることが知られており、今後はギャップジャンクションを構成するconnexinを阻害して、Aβの移動を評価する必要がある。 さらに脳実質内に投与したAβが周囲のアストロサイトに取り込まれるかを検討する必要もある。
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Causes of Carryover |
次年度の物品費、旅費等に使用するため。
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[Journal Article] Amyloid-Negative Dementia in the Elderly is Associated with High Accumulation of Tau in the Temporal Lobes.2019
Author(s)
Jun Takeuchi, Takayuki Kikukawa, Haruna Saito, Itsuki Hasegawa, Akitoshi Takeda, Hiroyuki Hatsuta, Joji Kawabe, Yasuhiro Wada, Aya Mawatari, Ami Igesaka, Hisashi Doi, Yasuyoshi Watanabe, Hitoshi Shimada, Soichiro Kitamura, Makoto Higuchi, Tetsuya Suhara, Yoshiaki Itoh
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Journal Title
The Open Biomedical Engineering Journal.
Volume: 13
Pages: 55-66
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Age-Dependent Relationship Between Plasma Aβ40 and Aβ42 and Total Tau Levels in Cognitively Normal Subjects2019
Author(s)
Ming-Jang Chiu, Lih-Fen Lue, Ming-Chyi Pai, Ta-Fu Chen, Chaur-Jong Hu, Likai Huang, Wei-Che Lin, Chau-Chung Wu, Jiann-Shing Jeng, Kaj Blennow, Marwan N Sabbagh, Sui-Hing Yan, Pei-Ning Wang, Shieh-Yueh Yang, Hiroyuki Hatsuta, Satoru Morimoto, Akitoshi Takeda, Yoshiaki Itoh, Jun Liu, Haiqun Xie
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Journal Title
Frontiers in Aging Neuroscience
Volume: 11
Pages: 222
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Spatiotemporal dynamics of red blood cells in capillaries in layer I of the cerebral cortex and changes in arterial diameter during cortical spreading depression and response to hypercapnia in anesthetized mice.2019
Author(s)
Unekawa M, Tomita Y, Toriumi H, Osada T, Masamoto K, Kawaguchi H, Izawa Y, Itoh Y, Kanno I, Suzuki N, Nakahara J
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Journal Title
Microcirculation
Volume: 26
Pages: e12552
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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