2019 Fiscal Year Research-status Report
認知症予防に着眼した日本全国を対象とした調査:水道水リチウムの効果
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18K07605
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
石井 啓義 大分大学, 医学部, 准教授 (00555063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 岳 大分大学, 医学部, 教授 (80217413)
横山 和仁 順天堂大学, 医学部, 客員教授 (00158370)
松川 岳久 順天堂大学, 医学部, 助教 (60453586)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リチウム / 認知症 / 水資源 / 水道水 / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
1)日本全国を対象とした疫学研究において、「水道水リチウム濃度と認知症の有病率は有意な負の相関をとる」という仮説を設定し、これを検証する。 ⇒日本全市の水道水リチウム濃度は計測済みだが市単位での認知症有病率のデータが入手できていないため、ナショナルデータベースの関連データを請求している。市単位での日本全体のデータが入手できたところで解析を行う。 2)認知症患者と性や年齢をマッチさせた非認知症患者を対象に、「認知症群は非認知症群と比較して有意に低い血中リチウム濃度を有する」という仮説を設定し、検証する。 ⇒50歳以上でリチウムを治療薬として投与されていない当院外来・入院患者141名より同意を得て採血し、順天堂大学衛生学講座で血中リチウム濃度を測定した。他の危険因子で補正を加えるため血中アミロイドβ蛋白、脳由来神経栄養因子、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸を、神経心理検査としてウエクスラー記憶検査(WMS-R)、Mini-Mental State Examination (MMSE) 、Clinical Dementia Rating、ピッツバーグ睡眠質問票、ハミルトンうつ病評価尺度 (HAM-D)、ヤング躁病評価尺度を行った。現時点での解析として、WMS-Rの一般的記憶、言語性記憶、視覚性記憶をそれぞれ従属変数とし、血中リチウム濃度、年齢、喫煙の有無、趣味の頻度、外出頻度を独立変数として重回帰分析を行った結果、男性において、血中リチウム濃度とWMS-R一般的記憶および言語性記憶の間に有意な正の相関が得られた。これは血中リチウムがその濃度に伴って認知機能低下を予防する可能性を示唆すると考察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)日本全国を対象とした疫学研究において、「水道水リチウム濃度と認知症の有病率は有意な負の相関をとる」という仮説を設定し、これを検証する。 ⇒日本全市の水道水リチウム濃度はすでに計測済みである。問題点は、市単位での認知症有病率のデータが入手困難なことである。そこで現在、再申請している。平行して、介護保険「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱa以上を認知症者と仮定し、大分県18市町村の認知症有病率を調べている。現時点で12市町村のデータを入手した。 2)認知症患者と性や年齢をマッチさせた非認知症患者を対象に、「認知症群は非認知症群(対照群)と比較して有意に低い血中リチウム濃度を有する」という仮説を設定し、これを検証する。 ⇒50歳以上でリチウムを治療薬として投与されていない当院外来・入院患者86名より同意を得て採血し、順天堂大学衛生学講座で血中リチウム濃度を測定した。他の危険因子で補正を加えるため血中アミロイドβ蛋白、脳由来神経栄養因子、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸を、神経心理検査としてMini-Mental State Examination (MMSE) 、Clinical Dementia Ratin、ピッツバーグ睡眠質問票日本語版、ハミルトンうつ病評価尺度 (HAM-D)、ヤング躁病評価尺度日本語版を行った。サンプリング数は順調に増加している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)日本全国の認知症有病率に関するデータを入手する。あるいは認知症有病率を計算できる他のデータを入手し、水道水リチウム濃度と認知症有病率の相関を調べる。 2)引き続き採血サンプリングを増やしていく。
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Causes of Carryover |
海外出張を予定していたが多忙のため中止となり、また登録した症例が予定よりもやや少なく、未使用額が生じた。未使用額については、不足した症例を集めるための検査代に使用する予定である。
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