2018 Fiscal Year Research-status Report
拡散MRIの白質モデル解析:臨床的撮像時間での実用性と正確性の両立へ
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18K07729
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
神谷 昴平 順天堂大学, 医学部, 非常勤助手 (30749825)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 拡散MRI / 組織微細構造 / 白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
先行報告の研究を進め、脳白質の微細構造イメージングを向上させる、現在の臨床用MRI装置と現実的な撮像時間で可能な方法として、1)TEを変化させる と 2)double diffusion encoding (linear encodingとplanar encoding)を用いるの2つが有望であることが分かった。 1)について撮像プロトコルを研究者施設のMRI装置に導入した。健常者でのテスト撮影に続いて、多発性硬化症症例での撮影を開始した。現在は症例数を増やしつつ、画像後処理の最適化を行っている。この手法は、軸索内と外とのT2値をそれぞれ定量することを提案している。軸索内/外のT2値の差にはミエリンが関与していると推測されており、また、内/外のT2差を考慮しないモデルでは多発性硬化症で白質のT2値が変化することは従来からよく知られている。この変化が内/外いずれの変化によるものなのか、軸索密度とT2値どちらが先行して変化するのか、症例を蓄積して明らかにしたい。 2)についても撮像プロトコルを導入し、条件を調節した。Lund大学のグループが公開している解析用ツールがあり、自施設のデータでも使用できることを確認した。これは大雑把に言えば、ボクセル内の拡散テンソルの不均一さを扱い、DKIで言うkurtosisのさらなる分割(サイズの不均一さと形の不均一さ)を可能にする。少なくとも、健常者で、視覚的評価とおよその値においては、リーズナブルな定量値マップを得ることができた。パーキンソン病において、少数例ではあるがこの撮像を実施可能な機会を得て、症例での撮影を開始している。double diffusion encodingから軸索密度を取得する方法についても先行論文をもとに実装に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行報告の研究と学会での情報収集を進め、本課題で探索する撮像/解析法の有力な候補を2つにまで絞り、それらの撮像シーケンスを導入・テストし、撮像については確定済。疾患(多発性硬化症、パーキンソン病)での撮影を既に開始しており、現在までにそれぞれ少数例のデータを取得している。後処理のパイプラインもおおよそ確定した。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床例での画像の取得を続けつつ、順次解析を行う。健常群との比較において、より病理学的変化(たとえば軸索変性や脱髄)に特異性の高いマーカーを見つけられることを期待している。現在行っている撮影は、従来のNODDIやDKIの解析に必要なデータを包含しているので、従来法との比較も行う。従来法に対して明らかな優位性のあるマーカーが示せなかった場合には、NODDIやDKIを採用してその分の撮像時間のリソースを(可変TEやDDEではなく)空間分解能やS/Nの向上に充てることが現在のハードウェアにおいては合理的であると考えられるので、結果がいずれであっても報告の意義があると考えている。
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Causes of Carryover |
海外出張旅費について、燃油サーチャージ等の変動によって当初の計画と若干のずれを生じた。また、本年度中にあったmac, linuxのOSアップデートによって、使用したいGPUや解析ソフトの対応状況が一部不明なものがあったので、当初考えていたワークステーションの購入は見合わせ、プレゼンテーションや協力者とのミーティングに使用するノートPCの購入に充てた。これによっても当初計画とややずれを生じた。次年度使用額については、論文執筆後の英文校正や別刷代といった経費に充てる予定である。
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