2021 Fiscal Year Research-status Report
ICRP新勧告への将来的対応を目指したIVR術者の水晶体専用線量計による被曝測定
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18K07755
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平川 雅和 九州大学, 大学病院, 准教授 (20380454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 勝美 九州大学, 大学病院, 助教 (50625803)
脇山 浩明 九州大学, 大学病院, 医員 (70758375) [Withdrawn]
松本 圭司 九州大学, 医学研究院, 助教 (40467907)
浅山 良樹 大分大学, 医学部, 教授 (40380414) [Withdrawn]
牛島 泰宏 九州大学, 大学病院, 講師 (40432934)
本村 有史 九州大学, 大学病院, 助教 (00826365)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水晶体被爆 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、計4名の術者の様々なIVR手技における水晶体線量を元に本研究の課題について、評価考察した。対象は、観察期間3年で、計366回のIVR手技において術者の水晶体線量をICRP推奨の測定方法に準じた防護眼鏡下で水晶体専用線計(DOSIRIS, Hp(3))と現行法令上の通常の測定法である防護眼鏡外で水晶体線量測定法 (ガラスバッジHp(0.07))を評価した。なお、水晶体線量限度見直しの省令・告示が、2年の経過措置の元令和3年4月より施行されている。 結果:ガラスバッジ(G)とDOSIRIS (D)による水晶体線量(mSv)の比較 今回はすべての術者が防護眼鏡を装着している。各術者の平均のガラスバッジ/DOSIRISの水晶体線量は0.494/0.28, 0.267/0.217, 0.733/0.407 and 0.733/0.433 mSv.今回使用した防護メガネ(東レ・メディカル株式会社製, 0.07mmPb)の遮蔽率は各術者で42.7, 19, 44.5, 40.9%で、平均36.8%の被ばく低減効果があった 考察:現行法令の防護眼鏡外のガラスバッジでの水晶体線量から、防護眼鏡の遮蔽率を考慮することで防護眼鏡下の真の水晶体線量を予測することは可能であると考えられた。ただし、本研究の対象4術者間だけでも防護眼鏡の遮蔽率の相違があり、ガラスバッジの測定値から遮蔽率を考慮した画一的な防護眼鏡下水晶体線量の予測には、問題があると考えられた。更に、各術者間だけでなく、様々なIVR手技で、X線の使用方向や対象患者の体格等から、ばらつきが多く、防護眼鏡下の水晶体線量の正確な予測は不可能と考えられた。すなわち、現行法令推奨の測定法での線量から、ICRP推奨測定法の線量に相当する値を算出は、ほぼ不可能で、防護眼鏡下で水晶体専用線量計を左目近傍に装着する規制が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床データ収集及び解析について、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
水晶体線量限度を遵守した臨床業務を遂行するためには、防護眼鏡必須の上、ICRP推奨の防護下の水晶体専用線量計での測定が必要と考えられた。防護眼鏡外ガラスバッジによる測定では、真の水晶体線量よりも過大な水晶体線量すなわち正確な水晶体線量を評価できないという現実があり、ある程度の猶予期間や特例があるが、これによる管理区域である臨床現場に立ち入りが困難な術者が少なからず存在し、臨床現場の混乱、本来受けることが可能な医療が受けることが困難となる患者様が存在してしまう国民の不利益を生じることになる。このような不利益をなくすために、水晶体線量を正確に評価すべく法令の更なる変更の検討を要すると考えられた。
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Causes of Carryover |
本研究課題において、防護眼鏡下で水晶体専用線量計を左目近傍に装着する規制が必要であると考えられたため、新たにポケット線量計を購入し、術者を増やし、更に、より多くのデータを収集するため。
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