2020 Fiscal Year Research-status Report
瀕回小児CT診断の検査理由と放射線被ばくの継時的分析による脳腫瘍罹患との関係
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18K07765
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
甲斐 倫明 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (10185697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 孝二 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (10611171)
宮嵜 治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 放射線診療部, 部長 (80278019)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | CT検査 / 脳腫瘍 / ICD-10 / 水頭症 / 硬膜下血腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、CT線量と小児の脳腫瘍の過剰発生との間に因果関係があるという報告がなされているが、なぜ特定の子供に頻繁にCTスキャンが行われるのかは不明のままである。そのため、逆因果関係の可能性も指摘されている。その糸口を見つけるためには、特定の子供に頻繁にCTスキャンが行われる理由を調べる必要がある。本研究では、日本の主要な小児科疾患の病院を対象に調査を行い、検査回数が多い理由を国際疾病と関連保健問題の統計分類第10版(ICD-10)を用いて分類した。小児の検査回数が増えた理由を分析した結果、CT検査を3回以上実施した理由のトップ3は、水頭症、頭蓋骨癒合症、くも膜嚢胞で、いずれも水頭症に関連するものであった。 我々は逆因果関係の可能性がないといえる小児の外傷に注目した。外傷では、打撲で局所的な内出血を起こすなど、病態の検査が非常に緊急性の高いものとなっている。 文章解析の結果、「術後」というキーワードの出現率は、検査回数と関係していることがわかった。硬膜下血腫では、手術を行うと検査件数が多くなる傾向にあった。 外傷の中では、急性硬膜下血腫の検査が最も多く、血腫の大きさや状態によって検査回数が異なっていた。また、検査の間隔については、最初のCT検査から1週間以内に実施されたものが全体の約4割を占めており、受傷後1週間以内に実施された検査が多いことがわかった。今回の調査では、病気の違いや同じ病気で特性が同じであっても、CT検査の回数に差が出るのは、症状や状態に依存していることが明らかとなった。本調査から、5回以上のCT検査を頻繁に受けることには正当な理由があると考えられた。しかし、WAZA-ARIの計算では、5歳時の平均脳線量は40mGyであることから、外傷という医学的理由で5回以上のCT検査を頻繁に受けることが、脳腫瘍を引き起こすかどうかについては、今後の研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で共同研究者との議論が十分に行えていないが、議論を行い、論文の考察をまとめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
共同研究者との議論を経て、論文の考察をまとめ、論文を学術雑誌に投稿予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、共同研究者との会議が開催できず旅費を使用しなかった。共同研究者との会議はオンラインとなることが予想されるため旅費の使用計画はしないで、論文作成、掲載料などに使用する予定である。
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