2018 Fiscal Year Research-status Report
実用化に向けた高線量率小線源治療におけるポリマーゲル線量計の測定技術の確立と応用
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18K07769
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
渡邉 祐介 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (90582742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 勉 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (10458747)
林 慎一郎 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (20238108)
前山 拓哉 北里大学, 理学部, 助教 (70612125)
水上 慎也 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (80759340)
村石 浩 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (00365181)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポリマーゲル線量計 / 高線量率小線源治療 / 三次元線量分布 / 放射線計測 / 品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
高線量率小線源治療(high-dose-rate brachytherapy: HDR-BT)は、遠隔操作式後充填法を用いて線源を腫瘍内部やその近傍に輸送して近接照射する。HDR-BTの各プロセスが正確に実行されることを確実にするためには、患者ごとの複雑な治療計画を検証する必要性があるものの、その検証法と測定ツールは確立されていない。そこで本研究は、ポリマーゲル線量計(ゲル線量計)によるHDR-BTの治療計画を総合的に検証できるシステムを新たに開発し、実用化を目的としている。 まず初年度である2018年度においては、これまで明らかにされていない192Ir線源から放出される平均380 keVγ線に対するゲル線量計の線量応答性と線量率依存性の基礎特性を詳細に調査した。本研究では、VIPETゲル線量計(N-Vinylpyrrolidone based polymer gel dosimeter)を採用し、線量データ読み取りには磁気共鳴(magnetic resonance: MR)画像により測定した横緩和速度R2を吸収線量に変換した。VIPETゲル線量計の192Ir線源に対する線量応答は、0~30 Gyの範囲で線量とR2に直線性を確認し、1.5~25.4 Gy/minで線量率依存性は認めなかった。この線量領域はHDR-BTの臨床プランで標的と正常組織への投与線量を線源近傍を除いて評価可能である結果を得た。 さらにVIPETゲル線量計を使用して、前立腺癌に対するHDR-BTを想定したファントム実験により測定した線量分布は治療計画装置の計算結果とよく一致する結果を得た。これらの結果から、ゲル線量計はHDR-BTの臨床で実施される照射条件において、三次元線量分布測定の有用な測定ツールであることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2018年度において、まず安定したゲル線量計の作製が可能な設備を北里大学医療衛生学部に整えた。そして、192Ir線源に対するVIPETゲル線量計の基礎特性を確認し、多くの業績をあげることができた。ここで、当初はVIPETゲル線量計のみの評価を予定していたが、さらに広島国際大学の林らにより報告された塩化マグネシウムを添加した高感度VIPETゲル線量計によるHDR-BTの線量分布測定を試み、高感度化の有用性を明らかにすることができた。また、HDR-BTに特有なゲル線量計内への線源挿入の必要性に関する酸素の混入やMR画像のアーチファクトなどの課題にそれぞれ対応し、臨床で行われる治療計画プランでの線量分布測定に成功する結果を得ることができたため、総合的に成果を上げることができたと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
VIPETゲル線量計の線量データの読み出しにはMR画像を利用するが、HDR-BTの線量勾配が急峻である線量分布の特徴に対応するため、さらに空間分解能の向上が必要である。それに伴う不確かさの悪化や撮像時間の延長が問題になる。そのため、MR撮像パラメータの最適化を進める。 また、VIPETゲル線量計に対しても、現在の単純なファントム形状からゲル線量計の高い形状自由度と柔軟性を活かして、人体に近似した状況における線量分布測定を試みる。最終的には、ゲル線量計によるHDR-BTの三次元線量分布の評価を確立し、臨床導入によるゲル線量計の有用性をまとめ、実用化について総合評価を行う。
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Causes of Carryover |
人体形状を模擬したファントムの作製に必要な機材を購入予定であったが、ゲル線量計の基礎特性の評価に重点を置いた実験を行ったため購入が遅れた。 次年度では購入できなかった機材を購入し、人体に近似した状況下でのHDR-BTにおける三次元線量分布測定に発展し、MR画像からの線量分布変換および解析法を確立するため研究を推進する。
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Research Products
(4 results)