2019 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患の早期検出を可能とする画像診断バイオマーカー技術開発
Project/Area Number |
18K07777
|
Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
下條 雅文 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員(任常) (20455348)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 神経変性 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、アルツハイマー病発症カスケードにおいて中核病変に位置付けられるタウ病変形成と神経炎症病態に着目し、ヒト変異型タウを過剰発現するrTg4510系統トランスジェニックマウスを認知症モデルとして病態の早期画像診断マーカー開発に取り組んだ。 1) タウ病態に伴う抑制性シナプス障害の画像診断 加齢に伴うタウ病態の進行度とシナプス分子群の経時的変化を調べたところ、rTg4510脳では病態早期において抑制性シナプス関連の蛋白質が選択的に低下している事が見出された。この変化は脳内の中枢性ベンゾジアゼピン受容体に対するポジトロン断層撮像にて画像評価する事が可能であり、マウス死後脳解析では神経活動の指標となるcFOS蛋白質の発現亢進が認められた。これらの所見は、タウ病態が生じる早期段階において神経回路の活動異常が生じている事を示唆しており、脳内の興奮性と抑制性のバランスを画像診断する指標として活用できると考えられた。 2) 炎症性アストロサイトを標的とした画像評価 炎症性アストロサイトのマーカー蛋白質群を標的とし、蛋白質相互作用などを利用して機能異常を検出するイメージング技術の開発に着手した。前年度に確立したGFAPプロモーターを搭載したAAVによる遺伝子導入法では、プロモーター活性が炎症感受性を示すためかレポーター蛋白質発現量の不安定性が懸念された。そこで遺伝子改変動物の新規開発を平行して進めながら、同細胞群の生体脳イメージング技術の有用性を検証している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モデル動物脳において抑制性シナプスを標的とした早期病態評価が実現された事により、神経精神疾患において介在ニューロンの機能障害を画像診断する指標として有用性が示された。炎症性アストロサイトの生体イメージングは未だ検討中ではあるが、動物モデル確立の目途がついた事により同細胞群の活性化評価に向けて着実な前進が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、炎症性アストロサイトの早期検出に主要な焦点を当て、レポーター分子開発や画像診断法の可能性を追求する。
|
Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】遺伝子改変動物の導入及び繁殖状況に関し、当初予定より計画実施に遅れが生じため。【使用計画】次年度に予定を組み込み、改めて実施を計画する。
|
Research Products
(1 results)