2019 Fiscal Year Research-status Report
インターロイキン36関連分子の構造解析による臨床応用への展開
Project/Area Number |
18K07840
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大西 秀典 岐阜大学, 医学部附属病院, 准教授 (60381620)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 蛋白立体構造解析 / 自己炎症性疾患 / 乾癬 / サイトカイン / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
インターロイキン(IL)-36はIL-1ファミリー分子の一つであり、皮膚における生体防御、炎症に関与する炎症性サイトカインである。近年、IL-36のアンタゴニストであるIL-36RaをコードするIL36RN遺伝子の欠損により汎発性膿疱性乾癬を引き起こすことが知られてきており、国内でも症例報告が相次いでいる。汎発性膿疱性乾癬は難治性かつ希少疾患であり、その治療法は未確立である。一方、タンパク立体構造解析は創薬の基盤情報となりうるが、IL-1ファミリー分子についてIL-1、IL-18については受容体との詳細な複合体構造情報が明らかとなっているが、IL-36についての構造的知見は未解明である。本研究では、IL-36及びその受容体(IL-36R)、IL-36Ra及びIL-36Rの複合体構造決定を目指している。また、本研究では、構造情報を元に臨床応用へ展開する研究も目的としている。 2018年度に、構造解析に必要な各種リコンビナント蛋白の大量精製を行い、IL-36α、IL-36受容体アンタゴニスト、IL-36受容体α鎖、IL-1RAcP(受容体β鎖)の精製方法を確立していたが、受容体タンパク群の収量が課題として残った。 2019年度はカイコによるタンパク発現系で収量改善を目指した。サンプルが揃い次第、複合体蛋白の精製、結晶化条件の検討、クライオ電子顕微鏡での構造解析に挑戦する予定である。 また、これらと並行して汎発性膿疱性乾癬患者の遺伝子解析を随時行っており、新規に同定されたIL36RN遺伝子上の意義不明遺伝子バリアント(VUS)の病的意義の判定についてin vitro実験手法の開発も行い、実験系を確立した。さらに類縁疾患である、IL1RN遺伝子上のVUS判定系も構築した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、構造解析、機能解析に必要なリコンビナント蛋白の精製を行った。大腸菌BL21(DE3)を使用してIL-36α、IL-36受容体アンタゴニスト(野生型及び変異型)、カイコを利用した蛋白発現系を使用してIL-36受容体α鎖、IL-1RAcP(受容体β鎖)の精製を行った。現時点の発現条件では、カイコによる受容体タンパク群の収量が悪い点が問題となっている。そのため構造解析のステップに移行する部分がやや遅延している。 また、2018年度に哺乳類細胞発現実験系としてpcDNA3.1+にIL-36R全長遺伝子を組み込んだプラスミドベクターを構築し、HEK293細胞を利用したIL-36シグナル伝達実験系を構築されている。この系を利用して、研究協力者より膿疱性乾癬患者で見出された新規遺伝子変異の情報提供を受け、構築した変異導入プラスミドベクターを使用して機能実験を行った結果、本実験系により既知変異T123M, 新規変異Xの機能低下が確認できることが証明できた。さらに、同様の実験手法により類縁疾患であるIL1RN変異の機能実験系を構築し、新規変異R29Xの機能低下及び残存活性について証明できた。 2019年度も他施設から解析依頼のあった汎発性膿疱性乾癬患者のIL36RN遺伝子解析を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降は以下の項目について研究を進める。1. 前年度に引き続き蛋白精製を行い、順次複合体蛋白として調整を行う。2. 分析ゲルろ過法により複合体タンパクのストイキオメトリーを検討する。3. 複合体タンパクの結晶化条件の探索を行う。4. 結晶タンパクが得られ次第、構造解析を行う。5. 結晶化条件の検討と並行して、クライオ電子顕微鏡による構造解析も試みる。6. 構造情報が得られ次第、構造情報を元にタンパク間相互作用が推定されるアミノ酸残基に変異を導入した 変異体タンパクを精製する。7. 変異体タンパクについて、タンパク-タンパク間相互作用解析(NMR, BiaCORE等)、タンパク安定性試験等のin vitro実験を行う。8. 前年度に構築したHEK293細胞を使用した細胞培養実験系を活用して、5.で作成した変異体タンパクが、このシグナル伝達系を阻害できるかどうかも検証する。9. 汎発性膿疱性乾癬患者のIL36RN遺伝子解析を行う。新規変異が同定された場合、8.の機能実験系により病原性を決定する。
|
Causes of Carryover |
研究の予定が一部次年度に持ち越しとなり、本研究計画の最終年度として、2020年度にタンパク精製実験、細胞培養実験、構造解析実験に使用するのに必要であるため。
|
Research Products
(12 results)
-
[Journal Article] The IL1RN Mutation Creating the Most-Upstream Premature Stop Codon Is Hypomorphic Because of a Reinitiation of Translation.2020
Author(s)
Moriya K, Kadowaki S, Nakano T, Akarcan SE, Kutukculer N, Aksu G, Sasahara Y, Kure S, Ohnishi H, Casanova JL, Puel A, Fukao T.
-
Journal Title
J Clin Immunol.
Volume: 40
Pages: 643-645
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] The clinical and immunological profiles of haploinsufficiency of A20 in Japan.2019
Author(s)
Ohnishi H., Kadowaki T., Kawamoto N., Hori T., Nishimura K., Kobayashi C., Shigemura T., Ogata S., Inoue Y., Kawai T., Hiejima E., Izawa K., Matsubayashi T., Takagi M., Imai K., Nishikomori R., Ito S., Heike T., Ohara O., Morio T, Kanegane H., Fukao T.
Organizer
The 10th Biannual Meeting of the International Society of Systemic Auto-Inflammatory Diseases
Int'l Joint Research
-
[Presentation] A case of novel identified proteasome-related autoinflammation and immunodeficiency syndrome caused by PSMB9 mutation.2019
Author(s)
Ohnishi H., Kataoka S., Muramatsu H., Kadoi E., Kanazawa N., Okada S., Honda Y., Izawa K., Nishikomori R., Taketani T., Hamazaki J., Murata S., Takahashi Y., Fukao T.
Organizer
The 10th Biannual Meeting of the International Society of Systemic Auto-Inflammatory Diseases
Int'l Joint Research
-
-