2020 Fiscal Year Research-status Report
骨形成不全症の分子基盤の解明とWntシグナルとOASISの活性化による新規治療
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18K07869
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 潤子 東北大学, 大学病院, 講師 (30509386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 幾磨 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (10271909)
新堀 哲也 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40436134)
鈴木 大 東北大学, 大学病院, 助教 (70814713)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨形成不全症 / エクソーム解析 / PPIB |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究である骨形成不全症の包括的な変異解析(Kanno J et al. J Bone Miner Metab. 2018)で責任遺伝子であるCOL1A1、COL1A2に変異が同定されなかった患者2名と新規4名の計6名と新規患者を対象としたエクソーム解析を施行した。エクソーム解析後,検出された変異をサンガー法で確認した。エクソーム濃縮は Agilent SureSelect Human All Exon kit v5 (OIP11のみv6)、 シークエンス解析は Illuminia Hiseq2500、情報解析は bwa、GATK、ANNOVARを用いた。エクソーム解析で2家系にCOL1A2変異を同定した。1家系にPPIB変異を同定した。過去の報告(19家系中15家系で変異陽性)と合わせた変異検出率は78% (23家系中18 家系で変異陽性)であった。COL1A2の変異は、1例は既報、もう一例は新規でSNPデータベースに報告なく、置換されたアミノ酸は種を超えて保存されていて、機能予測では病因と考えられた。2名とも重症のⅢ型で、早期に診断、治療開始し、治療反応は良好で歩行も可能であった。PPIB変異陽性例は、妊娠39週、自然分娩で出生生後7日目に大腿骨骨折、 6歳までに5回の骨折歴有り。青色強膜はごく軽度、歯牙形成不全は認めず、左大腿骨の弯曲のため介助なしには歩行不能。Pamidronateの投与で骨密度は正常、治療後骨折を認めず、短い距離は支えなしで歩行可能となった。この患者にPPIB遺伝子にp.E126G変異をホモ接合性に同定し、両親はヘテロ接合体であった。この変異はSNPデータベースに報告なく、アミノ酸は種を超えて保存されており、機能予測では病因と考えられた。PPIB変異による骨形成不全症の症例は本邦初である。患者はその後アレンドロネート治療を行い、QOLが改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エクソーム解析で、COL1A1、COL1A2以外の既知の骨形成不全症の遺伝子、LEPRE1、CRTAP、PPIB、SERPINH1、FKBP10、PLOD2、SP7、WNT1、CREB3L1、IFITM5などのうち、変異が同定されたのはPPIB1例のみで、他の遺伝子にも変異は見いだされなかった。社会情勢の影響で、学会・研究会の中止、新規患者の受診なしなどの状況で、全国からの新規患者の検体収集ができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
他施設からの検体を含め、さらに症例数を増やし、エクソーム解析を行う。既知の遺伝子以外の未知の遺伝子において、変異が見いだされないかも検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が無いため、記入しない。
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