2019 Fiscal Year Research-status Report
多能性幹細胞からの中胚葉誘導マスター因子の同定と、選択的心臓中胚葉誘導法の確立
Project/Area Number |
18K08114
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
貞廣 威太郎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60571130)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 心筋再生 / 心臓中胚葉 / ダイレクトリプログラミング / 心筋細胞 / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに生体外の多能性幹細胞に中胚葉誘導マスター因子であるTbx6を強制発現させることで、心臓中胚葉・沿軸中胚葉への分化を制御できることを明らかにした。さらに、マスター因子のスクリーニング過程で、Tbx6を線維芽細胞に強制発現させることで、線維芽細胞を心臓中胚葉細胞様の細胞へダイレクトリプログラミングすることが可能である事を発見した。この知見を応用することで、生体内の心臓線維芽細胞から心筋細胞が再生される可能性が示された。生体への遺伝子導入にはウイルスベクターを用いるために、線維芽細胞以外の細胞にもTbx6が導入される可能性がある。そこで、安全性を確認する目的で、マウス生体内の心筋細胞にアデノウィルス随伴ベクターを用いてTbx6を過剰発現させた予備実験をおこなったところ、心肥大などの有害事象を認めなかった。さらに驚くべきことに終末分化細胞である心筋細胞は、通常その分裂能力はほぼ失っているにも関わらず、Tbx6が導入された細胞では細胞増殖の活性化を認めた。これは新生児期のマウスだけでなく、成獣でも同様であった。生体外においてラット心筋細胞を用いた解析を行ったところ、心臓発生時期に重要な他の遺伝子では心筋増殖を認めず、Tbx6特有の効果と考えられた。この結果からはTbx6による心筋細胞増殖効果を用いた、新たな心筋再生療法の可能性が示唆された(Haginiwa, BBRC, 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多能性幹細胞からの中胚葉誘導マスター因子として発見したTbx6であるが、想定外の心筋細胞増殖効果を発見した。生体内外で心筋細胞の細胞周期の活性化を確認しており、今後の新たな心筋再生のアプローチとなりうる可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス生体内の心臓線維芽細胞や、生体外におけるヒト線維芽細胞を用いて、心筋誘導の効率化、手法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
当初、想定していたTbx6の作用とは異なる心筋増殖作用を発見したため、次年度に更なる解析を予定したため。
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Research Products
(4 results)