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2019 Fiscal Year Research-status Report

クリニカルプロテオミクス解析による悪性胸膜中皮腫の新規分子治療法の開発基盤構築

Research Project

Project/Area Number 18K08174
Research InstitutionMeijo University

Principal Investigator

柳澤 聖  名城大学, 薬学部, 教授 (20372112)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords悪性胸膜中皮腫 / プロテオミクス / 分子標的治療
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、悪性胸膜中皮腫の増殖因子として重要な機能を担う2分子を対象として詳細な機能解析を進める事により、新たな治療標的候補としての有用性を検証する事を目的としている。
2018年度までに、小胞体膜上に存在しその形態維持に関わるCKAP4が、ストレス応答分子eIF2のリン酸化制御において重要な役割を担い、さらにはその制御の中心的な役割を担うキナーゼを同定していた。2019年度は、CKAP4と共作用し、eIF2の脱リン酸化を制御するホスファターゼの同定を進め、その候補分子を特定するに至った。この知見を悪性胸膜中皮腫の新規治療法開発へと昇華させることをめざして、CKAP4の発現抑制によるeIF2のリン酸化誘導時に、同定したホスファターゼの阻害薬を作用させ、悪性胸膜中皮腫細胞の増殖能あるいは運動能などに対する影響を検討したところ、eIF2のリン酸化の遷延と、それに伴う増殖能抑制効果の顕著な増強を確認した。
また、分泌因子であるOSF2を対象とする解析では、2018年度までに、その発現抑制により悪性胸膜中皮腫細胞株の顕著な増殖抑制が認められるとともに、数10種類のタンパク質のリン酸化サイトで発現変動が認められることを確認していた。2019年度は、これらのリン酸化状態の変化が確認されたタンパク質を対象として、それぞれに対する特異的siRNAを用いて発現を抑制し、悪性胸膜中皮腫細胞における増殖能や運動能に対する影響を検討した。その結果、3種類のリン酸化タンパク質に関して悪性胸膜中皮腫細胞の増殖能の制御に関わる事を確認した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究内容の一つである悪性胸膜中皮腫におけるCKAP4の分子機能解析については、当初計画では、共作用するキナーゼとホスファターゼの同定を目標としている。本年度までの成果として、報告されているCKPA4の細胞内局在とは異なる局在を示すキナーゼとホスファターゼが、CKAP4と共作用することを確認するとともに、同定したホスファターゼをCKAP4と同時に治療標的とすることで、悪性胸膜中皮腫細胞における相乗的な増殖抑制効果が得られる事を見出している。以上の様に、将来的に悪性胸膜中皮腫治療の標的となり得る分子機構を見出すことができ、当該研究がおおむね順調に進展している状況と考える。
もう一つの研究主題である悪性胸膜中皮腫におけるOSF2の分子機能解析については、当初計画では、OSF2が担うシグナル伝達経路の下流分子の探索を進める事を目標としている。本年度の検討により、悪性胸膜中皮腫細胞において、増殖能あるいは運動能など腫瘍としての特性維持に対する役割が未解明であったリン酸化タンパク質が、OSF2が担うシグナル伝達の下流に存在し、腫瘍細胞の特性維持に重要な役割を担っていることを確認できており、当該研究がおおむね順調に進展している状況と考える。

Strategy for Future Research Activity

悪性胸膜中皮腫細胞の増殖に深く関与し、リン酸化を介したシグナル伝達経路の構成分子であることが明らかとなったCKAP4は、分子標的治療開発が立ち遅れている当該疾患の標的分子候補と期待される。治療標的としての作用点を明確にする事を目的として、CKAP4と共作用するキナーゼ、或いはホスファターゼとの相互作用の詳細解明を目指していく。これにより、悪性胸膜中皮腫の特性維持に重要な機構を阻害する作用点を明確なものとし、将来的な化合物のスクリーニングを可能とする評価系の基盤構築を目指していく。さらなる、CKAP4機能の詳細を解明するため、当該分子の発現抑制・増強、或いは欠失変異体を導入した培養細胞株を用いて、質量分析技術とリン酸化タンパク精製技術を応用したプロテオーム解析を進め、分子ネットワークの全貌解明を目指し、CKAP4が制御する細胞増殖、ストレス応答制御機構を標的とする治療薬の開発基盤を確立する計画である。
また、CKAP4と同様に、悪性胸膜中皮腫細胞の増殖に深く関与し、リン酸化を介したシグナル伝達経路の構成分子であることが明らかとなったOSF2についても、分子標的治療開発が立ち遅れている当該疾患の標的分子候補と期待される。そこで、当初計画にもある悪性中皮腫細胞における当該分子の受容体同定を目指して、質量分析技術と膜タンパク精製技術を応用したプロテオーム解析を進め、候補分子群の同定目指すとともに、これまでの成果に基づいて、OSF2が制御する細胞増殖、ストレス応答制御機構の中で治療標的に適したシグナル伝達機構の解明をさらに進める計画である。

Causes of Carryover

いくつかの研究主題の進捗が顕著であったことから、実験動物を用いた解析、化合物スクリーニング、OSF2の受容体探索などの開始に遅延が生じたため、これらの解析で必要と予定していた経費の執行を、2020年度に行う計画としたことにより、次年度使用助成金が生じる事となりました。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Divergent lncRNA MYMLR regulates MYC by eliciting DNA looping and promoter-enhancer interaction2019

    • Author(s)
      Kajino T, Shimamura T, Gong S, Yanagisawa K, Ida L, Nakatochi M, Griesing S, Shimada Y, Kano K, Suzuki M, Miyano S
    • Journal Title

      EMBO J

      Volume: 38 Pages: 1-13

    • DOI

      10.15252/embj.201798441

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-01-27  

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