2019 Fiscal Year Research-status Report
メタロβ-ラクタマーゼを標的とした細菌感染症治療補助剤の開発研究
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18K08430
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和知野 純一 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (00535651)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | メタロ-β-ラクタマーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度合成したメタロ -β-ラクタマーゼ阻害剤Z1の評価を中心に行った。阻害剤Z1は、IMP型、NDM型、VIM型などのサブクラスB1メタロ -β-ラクタマーゼにin vitroで強い阻害効果を示した。阻害定数(Ki値)は0.01uM~0.1uM程度であった。阻害剤Z1の添加により、上述のメタロ -β-ラクタマーゼを産生する組換え大腸菌のカルバペネム系薬の最小発育阻止濃度が大幅に下がったことから、生菌に対する阻害効果も確認することができた。さらに、臨床分離株に対する阻害効果を評価したところ、腸内細菌科細菌やアシネトバクター属菌に対しては、組換え大腸菌と同様の阻害効果が確認されたが、緑膿菌に対しては阻害効果が弱かった。 阻害剤Z1と各種メタロ -β-ラクタマーゼの相互作用をX線結晶構造解析により調べたところ、阻害剤Z1の2つの官能基がメタロ -β-ラクタマーゼの活性中心の亜鉛に配位していることが明らかとなった。阻害剤Z1はHeLa細胞に対する毒性が低く、変異原性もほぼ確認されなかったことから、安全性の高い物質であると考えられらた。マウスに対するLD50を算出したところ、その値は既存の抗菌薬よりも低い値であった。さらに、メタロ -β-ラクタマーゼを産生する大腸菌や肺炎桿菌を腹腔感染させたモデルを用いて、in vivoにおける阻害剤Z1の効果を検証した。その結果、カルバペネム系薬の単独投与に対し、カルバペネム系薬-阻害剤Z1併用療法の方が、明らかにマウスの救命率が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画した実験は全て終えることができた。 さらに、将来の創薬展開に向け、良好な結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
阻害剤Z1の緑膿菌に対する効果が弱かったことから、さらに阻害剤の改良を進め、緑膿菌に対する阻害効果が高い物質を創る予定である。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた研究試薬の物流に不測の事態が生じたため、前年度の納品が困難となり、次年度に持ち越すこととした。 当該試薬については次年度購入し、遺伝子組換え実験に用いる。
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Research Products
(6 results)