2019 Fiscal Year Research-status Report
消化管ペプチドBetagenin受容体の解明と糖尿病治療への応用
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18K08487
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
豊島 秀男 埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (20197966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横尾 友隆 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (80400688)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は膵β細胞および膵ラ氏島に作用する新たな消化管ペプチドとしてBetageninを同定し解析を進めてきた。Betagenin遺伝子産物は膜タンパクとして別の側面を持つ事も報告されているが、培養細胞及びアデノウイルスによるマウスでの強制発現実験からBetagenin遺伝子からプロセシングされた産物が細胞外に分泌されること、膵β細胞量はTgマウスでは増え、KOマウスでは減少する事から膵ラ氏島/膵β細胞の量を決める重要な因子であることを明らかにしてきた。また、Betageninが膵β細胞の増殖刺激作用およびインスリン分泌促進作用を持つこと、さらに膵β細胞のアポトーシスを抑制することも証明してきた。 今回、Betageninの作用機序の解明や糖尿病との関連をより詳細に探るために、Betagenin合成ペプチドに対する膵β細胞上の受容体について同定を試み、受容体候補遺伝子を得た。その候補遺伝子からBetageninペプチドと結合し、膵β細胞の増殖を誘導する遺伝子を特定することができた。MIN6細胞においてこの遺伝子の発現をsiRNAでノックダウンすると細胞増殖が起こらなくなることから、我々は膵β細胞上のBetagenin受容体を同定できたと考える。現在、特許取得、論文化を進めるとともに、その機能、生理的意義の詳細を検討している。 今後は、このBetagenin受容体ノックアウトマウスの作製および解析することと糖尿病治療標的としてのこの受容体に対するアゴニスト探索にむけて検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Betagenin受容体候補遺伝子を同定し、現在そのノックアウトマウスを作製できていること、また膵β細胞特異的なノックアウトマウス作製のための準備も整ってきたため計画はおおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はまず、Betagenin受容体ノックアウトマウスの数をそろえて膵β細胞への増殖効果、インスリン分泌刺激作用に与える表現型を解析する。また、膵β細胞特異的ノックアウトマウスの樹立に向けて凍結精子からの個体化、戻し交配を進める。
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Causes of Carryover |
膵β細胞特異的ノックアウトマウス作製のため、floxマウスの凍結精子を英国MRCより輸入した。その金額が確定するのが遅れたため残額が生じてしまったが、残額は4月に支出済みである。今年度分については当初の計画通りに執行していく。
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