2019 Fiscal Year Research-status Report
骨組織におけるインスリン・IGF1シグナル抵抗性とセレノプロテインPの関係
Project/Area Number |
18K08507
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石井 清朗 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (80419150)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 2型糖尿病 / 骨粗鬆症 / 骨折 / ヘパトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、2型糖尿病時における骨粗鬆症および骨折のリスクが認識されてきた。しかし、その詳しい原因や機序については明らかになっていない。原因の一つとして骨代謝におけるインスリン作用の変化が言われているが、メカニズムは完全には解明されていない。本研究では、2型糖尿病時に肝臓から分泌されるサイトカイン、セレノプロテインP(SeP)タンパク質が、骨芽細胞のインスリン/IGF1作用を低下させ、骨代謝を抑制しているという仮説を証明し、まだ確立されていない生活習慣病関連骨粗鬆症治療法開発の基盤を構築することである。具体的には高脂肪高ショ糖食マウスや高齢マウスで起こる2型糖尿病に関連した骨粗鬆症や骨折が、肝臓特異的および骨芽細胞特異的なSeP ノックアウト(KO)マウスでどのように改善されるのかを検証し、シグナル伝達経路も明らかにする。前年度、初代培養骨芽細胞を用いてシグナル伝達経路を調べ、SePがIGF1シグナルを抑制していることが分かった。そこでこのSePによるIGF1シグナルの抑制が2型糖尿病モデルマウスでも起こっているのかを確認するため、高脂肪高ショ糖食を与えたSeP KOマウスに浸透圧ポンプを用いてIGF1受容体阻害薬Picropodophyllin(PPP)を投与した。結果、SeP KOマウスにおけるブドウ糖負荷試験による耐糖能改善効果に変化はなかったが、骨量減少の軽減効果はなくなった。したがって、高脂肪高ショ糖食による2型糖尿病モデルマウスで起こる骨量の減少はマウス個体においてもIGF1シグナルの抑制であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2型糖尿病による骨粗鬆症の原因として、SePがどの様にかかわってるかということを解明するために、細胞だけでなく、マウス個体からもメカニズムを明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
加齢に対する糖尿病や骨粗鬆症の影響および、骨折リスクを観察するための2年齢のマウスの解析を行う。また数年分の検診データや糖尿病患者検体での、骨量、骨折歴、血液成分の臨床データとこれまで得られた遺伝子組み換えマウスのデータを用いて、ヒトにおけるSePと骨粗鬆症や骨折リスクとの関連を調べる。
|
Causes of Carryover |
民間助成金に採択されたため、翌年度の研究費に今年度の科研費を使用することができた。
|