2018 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化促進遺伝子導入MHC確立ミニブタを用いた移植心冠動脈病変進展機序の解明
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18K08544
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
関島 光裕 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発研究センター, 特任助教 (20568589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和彦 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (40241103)
佐原 寿史 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90452333)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 移植・再生医療 / 移植心冠動脈病変 / 心移植 / MHC / ヒトアポリポ蛋白(a) / 動脈硬化モデルミニブタ / 加齢 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
移植心冠動脈病変(Cardiac allograft vasculopathy: CAV)は慢性期心機能低下に大きな影響を与え生命予後に直結するため、病変進展機序の解明と治療戦略の開発は最重要課題である。本研究では、移植免疫に重要な組織適合性抗原(Major Histocompatibility Complex: MHC)が確立したクラウン系ミニブタを遺伝子改変することによって鹿児島大学で開発した動脈硬化モデルミニブタ(ヒトアポリポ蛋白(a)(Apo(a))導入により動脈硬化促進因子リポ蛋白(Lp(a))が高値を示すミニブタ)を用いた実験によって、免疫学的因子(自然免疫や獲得免疫)あるいは非免疫学的因子(動脈硬化や加齢に伴う変化)が複雑に絡むCAV発症機序の解明をはかる。 平成30年度は、MHCクラウン系ミニブタ異所性心移植モデル(T細胞免疫が殆ど関与しないMHC適合間心移植、ただしマイナー抗原に対する免疫反応を制御するため術後短期間免疫抑制療法を使用。ドナーおよびレシピエントは12か月以下の月齢の加齢動物ではない個体を使用)において、どのようにCAVが進展うるのかという点の評価を中心として研究を実施したところ、このモデルでは60日以上にわたり心臓が長期生着し、生検所見で拒絶反応やCAVの進展は認められなかった。この結果はCAVの発症および進展には、強い免疫反応もしくは動脈硬化・加齢などの因子が重要であることを示唆するものである。クラウン系ミニブタを用いた他の臓器移植モデルにおいて、短期免疫抑制療法下のMHC不適合間移植では免疫抑制療法終了後に強い細胞性拒絶反応、グラフト不全を生ずることから、引き続きMHC適合移植モデルを用いた実験により、加齢ドナー(あるいはレシピエント)を用いた移植、あるいは動脈硬化モデルミニブタを用いた移植実験によって、免疫学的因子の関与が少ない条件でのCAV進展の評価によって、加齢や動脈硬化等の因子のCAV発症への関与の解明につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度は上記のように、MHC確立クラウンミニブタを用いた異所性心移植モデルでCAV進展モデルが得られなかったことから、やや遅れていると判断した。しかし遅れを生じた点に対する対策はなされていることから、平成31年度も研究の継続により進捗をはかる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、加齢動物ではない個体を用いたMHC適合間異所性心移植モデルでは移植後2か月の間にはCAV進展は明らかでなかったことから、引き続きMHC適合移植モデルを用いた実験により、免疫学的因子の関与が少ない条件でのCAVの発症および進展評価を継続し、加齢ドナー(あるいはレシピエント)を用いた移植、もしくは動脈硬化モデルミニブタを用いた移植実験によって、CAV進展が得られるのかについて明らかにし、CAV発症機序の解明につながる知見を得る方針である。
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Causes of Carryover |
移植手術の際に用いる薬品の供給が不足したため、この薬品を次年度に入手することを第一案として考え、また入手不可能な際は代替となる薬物を次年度に購入することを計画している。
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