2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K08558
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
藤野 真之 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 研究員 (50392329)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 一泰 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (20270655)
梨井 康 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 移植免疫研究室, 室長 (60321890)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 移植免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症反応は獲得免疫の指向性に重大な影響を及ぼす。臓器移植においては、移植臓器の拒絶反応制御に、感染症においては、生体内のウイルス制御に影響を与えることが報告されている。本研究は、「炎症制御による移植免疫寛容誘導の確立」を目的とする。炎症反応が免疫抑制を誘導する機序を解析し、これらの刺激による自然免疫機構を介した移植抗原特異的な免疫(獲得免疫)抑制方法の確立を、アロ臓器移植モデル等を用いて検討する。 本年度は抗炎症制御能および制御性免疫反応を誘導することが知られているヘム合成の前駆体である5-アミノレブリン酸(5-ALA)の全身性硬化症(SSc)対する効果を検討した。SScは、皮膚、内臓および血管に影響を及ぼす臨床的に不均一なリウマチ性自己免疫疾患であり、炎症反応および免疫反応がその病態発症に深く関与している。しかしながら現時点ではSScの病態メカニズムは明らかではなく効果的な治療法も確立されていない。本研究では、リンパ球をドナーマウス(B10.D2)からRag-2欠損レシピエントBALB/cマウスに静脈内注射して、GvHD誘発性強皮症(scl-GvHD)を作製し、scl-GvHDに対する5-ALAの効果を調べるために、5-ALAとクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)をレシピエントマウスに9週間経口投与した。5-ALA/SFC処置は、皮膚および耳における進行性の炎症および線維症を有意に減少させた。さらに、5-ALA/SFCは、TGF-β、I型コラーゲンおよび炎症性サイトカインのmRNA発現を抑制した。これらの結果は、5-ALA/SFC併用治療が、マウスのscl-GvHDの病態発症を抑制すること、その抑制効果には、炎症反応の制御が関与していることを示している。また、5-ALA/SFCがSScの治療に対する可能性の高い治療方法であることを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全身性強皮症における5-ALAの治療有効性を明らかにすることができた。この効果は5-ALAによる炎症制御を介した制御性免疫反応誘導によるものと考えられる。一方、遺伝子解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子解析を進める
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Causes of Carryover |
遺伝子解析の進み具合が遅れており、そのための金額が使用出来なかった。翌年度に使用予定である。
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Research Products
(13 results)