2021 Fiscal Year Research-status Report
予防抗菌薬の感染部位濃度測定による科学的有効性の検証
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18K08630
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
高山 陽子 北里大学, 医学部, 准教授 (80286278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 隆俊 北里大学, 医学部, 准教授 (10286304)
厚田 幸一郎 北里大学, 薬学部, 教授 (20306658)
花木 秀明 北里大学, 大村智記念研究所, 教授 (60286747)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CMZ組織内濃度 / CMZ血清濃度 / 下部消化管外科 / 手術部位感染 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、予防抗菌薬としてcefmetazole(CMZ)を投与した腹腔鏡下結腸切除術、腹腔鏡下直腸切除術を施行した105例を対象に解析した。患者背景は、男性64例、女性41例、平均年齢71歳(IQR 61-77歳)、結腸癌 57例、直腸癌 30例、直腸S状結腸癌 5例、盲腸癌 8例、その他 5例、であった。方法は、皮膚切開30~60分前にCMZ 1g(体重≧80kgは 2g)を静脈内投与し、経時的に血清および皮膚切開時、病理組織診断提出時、創閉鎖時に皮下脂肪を採取し、分離分析法(HPLC法)により濃度を測定した。 手術部位感染(SSI)発生率は105例中13例(12.4%)であった。血清、皮下脂肪組織、腸間膜脂肪組織におけるCMZ濃度は、単回投与の血清濃度(以下中央値):皮膚切開時101.3、腸管切除時38.4、皮膚閉鎖時31.0 mg/L、単回投与の組織濃度:4.2、1.6、1.4 mg/g、3時間後追加投与の血清濃度:82.0、31.5、68.8 mg/L、追加投与の組織濃度:3.5、1.7、2.9 mg/gであった。SSIと非SSIについて、各項目の関連性を単変量解析を用いて調査したところ、有意因子(P<0.1)は、CMZ追加投与、年齢、クレアチニンクリアランス、閉創時の皮下脂肪組織であった。 SSIの原因菌となる菌の中から、meticillin-susceptible S. aureus (MSSA)、E. coli、B. fragilisについて、文献に基づきMIC90を各々1、16、64 mg/L と設定すると、多くの症例で皮膚切開時のCMZ血清濃度はMIC90を上回っていた。CMZの蛋白結合率は85%と報告されているが、特に皮膚常在菌であるMSSAは蛋白結合率を考慮しても十分な濃度を維持しており,SSIの抑制に寄与したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
症例は蓄積されており、進捗に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
集積した症例データの解析結果を検証し、引き続き国内外の学会等における公表を行う。
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Causes of Carryover |
引き続き解析を継続しており、試薬類や消耗品の追加費用が発生する。
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Research Products
(1 results)