2018 Fiscal Year Research-status Report
膵癌幹細胞および腫瘍微小環境をターゲットとする個別化診療への展開
Project/Area Number |
18K08646
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
永野 浩昭 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10294050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒富 亮一 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10420514)
松隈 聰 山口大学, 医学部附属病院, 診療助教(4日/週) (10634743)
徳光 幸生 山口大学, 医学部, 助教(寄附講座等) (40593299)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 膵癌 / 癌周辺微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
教室では、膵癌細胞株から膵癌幹細胞様細胞(P-CSLC)を誘導する方法を開発し、calreticulin(CRT)が膵癌幹細胞の新規マーカーとなることを報告した。特に、誘導した膵癌CSLC (P-CSLC)より豊富な細胞集団と親細胞に発現している分子をProteomicsの手法で比較し、小胞体における分子シャペロンとして知られるCalreticulin (CRT) が、P-CSLCの細胞膜上で高発現していることを見出した。本研究では、この結果を応用し、プロテオミクス、メタボロミクス、次世代シーケンサーを用いたmRNA解析という網羅的なアプローチを通して、膵癌幹細胞の新たな治療標的を同定する。つまり、我々の開発したP-CSLC誘導法とCRTを用いることで、効率的に膵癌幹細胞の病態解明と新たな治療ターゲットの同定が可能になり、癌幹細胞に対する有効な治療開発の端緒としたい。初年度は、網羅的なアプローチによるCRT陽性P-CSLCに高発現した数種類の分子と同細胞での活性化した代謝経路を同定する。さらに癌幹細胞性および癌悪性化、治療標的としての可能性という観点から、標的分子の絞り込みを行う。また、P-CSLCとcancer associated fibroblasts (CAFs)の相互に関連している表面抗原などについても解析する。これらの研究を通して、膵癌幹細胞をターゲットとした新規治療法開発の礎を築く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CRT陽性細胞を、フローサイトメーターを用いたソーティングにより分離する。親細胞およびCRT陽性CSLCから、代謝産物、RNA、タンパクを抽出してきた。さらに、タンパクは2次元電気泳動によるスポット比較により、CRT陽性CSLCに高発現したスポットを抽出し、Mass Spectrometry(MS)により、分子同定を行った。同様に、代謝産物はキャピラリー電気泳動およびMSによるスポット比較を行い、RNAは、教室で保有する次世代シーケンサー(NextSeq2000)を用いたRNAseqによりCRT陽性CSLCに高発現したmRNAの同定を試みた。これらの結果と体系的な解析 (GSE, Causal network、Pathway解析など) の中で、Cathepsin B、Annexin-Vなどの分子がターゲット候補として同定された。
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Strategy for Future Research Activity |
・膵癌CSLCに対する治療のターゲット選定 上記により絞り込んだ候補分子のsiRNA/shRNAによるノックダウンや低分子化合物による阻害がstemnessに及ぼす影響を解析する。具体的には、免疫不全マウスを用いた腫瘍原性、ABCトランスポーターの活性等に及ぼす影響を解析する。さらに候補分子の免疫細胞への影響については、免疫細胞との共培養試験で確認する。本解析には、翌年度も含め約2年間を要すものと考えられる。 ・CRT陽性P-CSLCとCAFsの関係 P-CSLCとCAFsの共培養システムにおいて、CAFsの存在下でCRT陽性P-CSLCの増殖能やStemness(主にABCトランスポーター活性とRT-PCRを用いたstemness, EMT related geneの発現を用いて解析)に変化が生じるのか検討する。変化が確認できた場合は、P-CSLC、CAFsの培養液およびそれぞれの細胞をSecretome、RNAseqにより解析し、相互作用に関与している液性因子およびtranscriptional profileを解析する。
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Causes of Carryover |
本年度に計上する予定の人件費を変更したことにより、未使用額が生じた。この未使用額については、令和元年度に人件費として使用する。
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[Journal Article] Expression levels of UL16 binding protein 1 and natural killer group 2 member D affect overall survival in patients with gastric cancer following gastrectomy2018
Author(s)
Kamei R, Yoshimura K, Yoshino S, Inoue M, Asao T, Fuse M, Wada S, Kuramasu A, Furuya-Kondo T, Oga A, Iizuka N, Suzuki N, Maeda N, Watanabe Y, Matsukuma S, Iida M, Takeda S, Ueno T, Yamamoto N, Fukagawa T, Katai H, Sasaki H, Hazama S, Oka M, Nagano H
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Journal Title
Oncology Letters
Volume: 15(1)
Pages: 747-754
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] IgG response to MHC class I epitope peptides is a quantitative predictive biomarker in the early course of treatment of colorectal cancer using therapeutic peptides2018
Author(s)
Kanekiyo S, Hazama S, Takenouchi H, Nakajima M, Shindo Y, Matsui H, Tokumitsu Y, Tomochika S, Tsunedomi R, Tokuhisa Y, Iida M, Sakamoto K, Suzuki N, Takeda S, Yamamoto S, Yoshino S, Okuno K, Udaka K, Kawakami Y, Matsueda S, Ito K, Nagano H
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Journal Title
Oncology Reports
Volume: 32(4)
Pages: 1945-1953
DOI
Peer Reviewed
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