2019 Fiscal Year Research-status Report
吸入麻酔薬の心保護作用に対するオートファジー・ミトコンドリアダイナミックスの影響
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18K08817
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
酒井 陽子 徳島大学, 病院, 特任准教授 (90711862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 奈美 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (00622606)
田中 克哉 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (30263841)
堤 保夫 広島大学, 大学院医系科学研究科, 教授 (90523499)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / プレコンディショニング / オートファジー / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者の研究グループは、早くから吸入麻酔薬の心筋保護作用に注目し、その経路を明らかにしてきた。しかしながら、そのメカニズムの全容は明らかではない。特に、吸入麻酔薬イソフルランを前投与することで得られる心筋保護作用はAnesthetic Preconditioning(APC)として知られており、イソフルランを1.0 MAC (minimum alveolar concentration)・30分吸入させることでその後に起こる虚血再灌流障害に対して心筋保護作用を発現する。 近年、自食作用であるオートファジーが心筋保護作用に関与し、重要な役割を演じていることが明らかになってきた。また、ミトコンドリア機能の調節が心筋保護に関与する可能性があると報告されたが、イソフルランの心筋保護作用に対し、オートファジーとミトコンドリアの機能調節についての関連性は明らかになっていない。 そこで令和元年度は、平成30年度に行った虚血再灌流in vivo実験の各群のマウスの摘出心(コントロール群、吸入麻酔薬イソフルラン群、オートファジー誘導剤群、オートファジー抑制剤群)についてイムノブロッティング法にて関連タンパクを比較した。 特に、オートファジーの評価については、LC3を用いたオートファジーの定量を用い、LC3-II/LC3-Iを指標としたり、オートファジー誘導タンパクであるBeclin1を測定した。その結果、吸入麻酔イソフルラン群ではコントロール群に比較してオートファジーの誘導が高かった。これにより、吸入麻酔薬の虚血再灌流障害に対する心筋保護作用(APC作用)は、オートファジーの影響が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者が提案した実験は全部で3つあり、3年の予定である。令和元年度はその2年目であり、各群のマウスの摘出心(コントロール群、吸入麻酔薬イソフルラン群、オートファジー誘導剤群、オートファジー抑制剤群)についてイムノブロッティング法にて関連タンパクを比較する研究を行った。最終年度はプレコンディショニング作用がオートファジー及びミトコンドリアダイナミクスを含むミトコンドリア機能に与える影響について調べる。これらによって本研究期間内に、吸入麻酔薬の心筋保護作用経路におけるオートファジー・ミトコンドリアダイナミックスの果たす役割が解明される。 上記のことから、現在までの進捗状況はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は以下の実験を行う。 摘出心をランゲンドルフ酵素法を用い得られた遊離心室筋細に対し、1 時間低酸素状況に暴露することで心室筋細胞に虚血状態をつくりだす。その後通常の培養状態に戻すことで再潅流状態とする。ミトコンドリア染色色素(MitoTracker)、光褪色後蛍光回復法(FRAP assay)を用いて各群のミトコンドリアダイナミクス(ミトコンドリアの分裂と融合)を明らかにする。また、ミトコンドリア膜電位を蛍光検出し、プレコンディショニング作用が与える影響について考察を加える。さらに、オートファジー及びミトコンドリアの分裂・融合タンパクについてイムノブロット・real-time PCRを用いて調べる。また、各群の心臓をホモジナイズし、密度勾配遠心法にてミトコンドリア分画を得た後、ミトコンドリア膨化アッセイにより吸光度の変化によってCa2+依存性ミトコンドリア膨化がAPC刺激による心筋保護効果にどのように影響するかを調べる。さらにこの影響を可視化するため、calsein-AM試薬を用いて細胞を蛍光ラベルし、mPTP開閉を観察する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Assessment of postoperative nutritional status and physical function between open surgical aortic valve replacement and transcatherter aortic valve implantation in elderly patients.2020
Author(s)
Mayu Sebe, Rie Tsutsumi, Takuro Oyama, Yousuke T. Horikawa, Yuta Uemura, Nami Kakuta, Yoko Sakai, Atsushi Morio, Hirotsugu Miyoshi, Takashi Kondo, Tomoaki Urabe, Yuko Noda, Satoshi Kamiya, Noboru Saeki, Masashi Kuroda, Katsuya Tanaka, Yasuo M. Tsutsumi, and Hiroshi Sakaue.
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Journal Title
Journal of Medical Investigation
Volume: 67
Pages: 139-144
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Postoperative nausea and vomiting following lower limb surgery: a comparison between singleinjection intraarticular anesthesia and continuous epidural anesthesia.2019
Author(s)
Yuta Uemura, Yoko Sakai, Yasuo M. Tsutsumi, Nami Kakuta, Chiaki Murakami, Shiho Satomi, Takuro Oyama, Naohiro Ohshita, Tomoya Takasago, Daisuke Hamada, Koichi Sairyo, and Katsuya Tanaka.
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Journal Title
Journal of Medical Investigation
Volume: 66
Pages: 303-307
DOI
Peer Reviewed / Open Access