2018 Fiscal Year Research-status Report
3次元再構築精巣をツールとした精子形成不全発生過程の解明
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18K09153
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
吉池 美紀 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (60398964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 晃明 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (60046117)
佐藤 陽子 東亜大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50398963)
仲田 浩規 金沢大学, 医学系, 講師 (80638304)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精巣 / 3次元再構成 / 精子形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「3次元再構築精巣」というツールを用いて、精子形成不全が生じる過程を、精子形成およびその障害に関連した種々の指標(形態学的指標・各種精子形成関連マーカーなど)の3次元的分布に基づいて詳細に解析することを目標としている。 本年度は、3次元再構築用の精巣サンプルを作製し、3次元再構築に着手した。正常な成熟シリアンハムスターの精巣を固定・包埋後、連続切片を作製し、PAS染色により精細管基底膜を描出し、10枚おきにデジタルデータとして病理画像を取り込んだ。3次元可視化解析ソフトAmiraを用いて画像の軸合わせを自動で行い、精細管を精巣網から連続的に半自動でトレースすることで3次元再構築した。再構築した3次元データより、1例の精巣について精細管の数、長さ、分枝数、盲端数、精巣網への結合点などの解析が全精細管について完了した。 また、ハムスターの精子形成障害モデルとして、停留精巣ならびに抗癌剤投与による実験的精子形成障害モデルを作製した。停留精巣モデルにおいては2週間で精巣がほぼSertoli cell only となった。抗癌剤(ブスルファン)投与モデルにおいては、投与後3週までの精巣では、精細胞核の凝集やアポトーシス、精上皮の菲薄化を認める精細管が経時的に増加する傾向がみられたが、6週および8週においては、上記に加え精子形成が回復している精細管や成熟停止の精細管が混在する組織像が認められた。これはヒトの精子形成不全患者のヘテロな精巣の状態に非常に類似していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は正常ハムスター精巣1例の3次元再構築が完了した。基底膜の染色性がヒトやマウスと違うことなどが理由で始めの条件設定に苦慮し、予定より時間がかかったため2例目は完成していない。また、精子形成障害モデルとして停留精巣および抗癌剤投与モデルを作製し、両者の病理学的評価により比較のための至適条件を設定した。
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Strategy for Future Research Activity |
停留精巣、抗癌剤投与の2種の精子形成障害モデルについても正常と同様に3次元再構築を行い、デジタルデータ化した病理画像の全精細管について、精細管上皮ステージ、Johnsen score、精細管直径、精細管壁厚、精細管占有率などを形態学的に評価し、3次元再構築データ上にマッピングする。そして精子形成障害の程度(経時的)、障害原因(手術/薬剤)が異なる精巣間で結果を比較し、障害がどの部域から、どのような形態学的変化として生じ、どのようなパターンで進展していくかを詳細に解析する。
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Causes of Carryover |
1例目の3次元再構築に時間がかかったため、免疫染色用の抗体などの購入が遅れている。次年度すぐに使用予定である。
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