2018 Fiscal Year Research-status Report
VHL病の腎がん発生におけるセカンドヒット遺伝子変異の探索
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18K09169
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
辛島 尚 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (60304672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
執印 太郎 高知大学, 医学部附属病院, 特任教授 (70128601)
津田 雅之 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (90406182)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | VHL / CRISPR/Cas9 / セカンド/サードヒット遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】フォン・ヒッペル・リンドウ(Von Hippel-Lindau; VHL)病はVHLがん抑制遺伝子変異を原因とし、複数の臓器に腫瘍が多発する常染色体優性の遺伝性疾患である。本疾患の自然史は未だ不明な点が多く、これまでのVHLノックアウト/トランスジェニックマウスではヒトと同様の腫瘍形成は認められない。我々は、腫瘍の発生にはVHL遺伝子変異に続き、他の遺伝子の二次ないし三次変異(セカンド/サードヒット)が必要という仮説を立てており、本研究では、これを証明するために、より能動的なゲノム編集技術CRISPR/Cas9を用いてVHL遺伝子変異に続くセカンド/サードヒット遺伝子変異の探索を行い、腫瘍形成能を有するVHL疾病モデルマウスの製作を目的とする。【研究実績】VHL変異の選別はVHL病遺伝子診断結果に基づき、Tyr98HisとArg167Trpを用いた。標的遺伝子を CRISPR-Cas9システムと受精卵エレクトロポレーション法(GEEP 法)にて導入し、培養された受精卵を仮親の卵管へ移植した。出産離乳後、産仔のゲノムDNAをジェノタイピング解析し、ゲノム編集の行われたノックインファウンダー(F0)マウスを選別した。F0マウスと野生型マウスの自然交配により、次世代(F1)マウスを作製し、Tyr98His、Arg167Trpともに生殖系列と変異が伝播したヘテロ(+/-)ノックインF1マウスを得た。これらのマウスより、まず始めにTyr98HisノックインF1マウス同士の自然交配による、ホモマウス(+/+)の作製を試みたが、生まれてきた産仔にホモマウスは認められなかった。Tyr98His両アレルの変異マウスは胎生致死となる可能性が示唆されていたため、胎生期の解剖を行い、肉眼的および病理組織学的な観察を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
VHL遺伝子変異として用いたTyr98His両アレルの変異(ホモ)マウスは胎生致死であった。VHLの一塩基置換変異体における胎生致死の過程は知られていないため、胎生期をさらに詳しく観察することとした。もう一方のArg167Trp変異F1マウスにおいては、現在ホモマウスの作製を試みている。 上記のVHL遺伝子変異F1マウスにてホモマウスが得られるか否かによって、以後のセカンド/サードヒット候補遺伝子の選別と導入方法を決定する。導入予定であるPBRM1遺伝子、SETD2遺伝子、BAP1遺伝子変異の設計については考察中である。 以上の点から、進行状況はやや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画としては、継続してArg167Trpホモマウスの作製を試みる。胎生致死の場合は、Cre/loxPシステムを用いた臓器特異的コンディショナルノックアウトマウスの製作を検討する。 最適なセカンド/サードヒット遺伝子の設計を行い、そのヘテロマウスおよびホモマウスの製作を行う。 結果に応じて、VHL遺伝子変異ヘテロもしくはコンディショナルホモマウスにセカンド/サードヒット遺伝子の導入、もしくはそれぞれの自然交配をさせることも検討する。
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