2019 Fiscal Year Research-status Report
Metabolisms in BRCA-deficient and -proficient ovarian cancer as new therapeutic and diagnostic target.
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18K09243
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Research Institution | Miyagi Prefectural Hospital Organization Miyagi Cancer Center |
Principal Investigator |
山田 秀和 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (10254012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田沼 延公 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 主任研究員 (40333645)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 卵巣がん / 代謝 / BRCA |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣がんの代謝特性を解明し、新規治療標的として開発することを目的として研究を行った。特に、近年PARP阻害がBRCA1/2変異がんに対する治療において成果を上げているが、その標的であるPARPがNAD依存的酵素であることから、卵巣がんにおけるNAD合成経路について、検討を行った。 前年度の検討にて、卵巣がんのNAD合成阻害感受性が、PARP阻害感受性と相関せず、むしろ、BRCA1/2遺伝子変異と逆相関することが示唆されていた。これら観察結果を理論モデルとして確立するため、上記内容の論文公表にとりくんだ。我々の実験系の合理性を明らかにするため、通常培地に加えて、大過剰のニコチン酸を添加した培地にて、細胞株パネルのFK866感受性試験を行った。その結果、ニコチン酸添加によってFK866への感受性が大きくレスキューされる株とされない株を同定できた。そのようなニコチン酸によるレスキューの有無は、それぞれの株におけるNAPRT遺伝子の発現レベルとよく相関していた。レスキュー株においては、耐性獲得に要するおおまかなニコチン酸濃度を決定できた。また、FK866のLC50値について、より精緻な決定を行うとともに、FK866に加え、別のNAD合成阻害剤GNE617も用いて検討し、両薬剤へのLC50が、統計的な有意差をもって相関することを明らかにした。NAD合成阻害が、細胞内NADPHレベルに及ぼす影響を明らかにした。 上記の取り組みに加えて、ゲノム上の全ての代謝遺伝子(代謝酵素だけでなく、関連が深い分子も含む)を対象とした、ゲノム編集スクリーニング系を立ち上げた。予備的なスクリーニングを行い、実験系が機能することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BRCA変異細胞株の方がNAD合成阻害に対する感受性が低いというのは予想外だったが、周辺を固める種々の実験データが取得できたこと、新規スクリーニング系の構築ができたことなどを総合し、上記評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス移植モデルでの解析を中心に、NAD阻害剤による卵巣がん治療効果や作用メカニズムを明らかにする。NAD合成以外の代謝脆弱性をスクリーニング実験によって明らかにする。
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Causes of Carryover |
・消耗品費が当初想定よりも僅かに少なくすんだため ・次年度の消耗品費に上積みし、より迅速な計画進捗をねらう。
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