2022 Fiscal Year Annual Research Report
Amniotic fluid derived mesenchymal stem cells and exosomes in fetal function
Project/Area Number |
18K09265
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
三浦 生子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (00404301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00363490)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 胎児機能 / 胎児成熟 / 羊水細胞 / エクソソーム / 間葉系幹細胞 / mRNA / microRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
妊娠中の胎児成熟を評価するツールとして、肺成熟を評価するマイクロバブルテストやシェイクテストがあるが、全身の臓器成熟を評価するバイオマーカーは存在しない。そこで、胎児機能における羊水由来間葉系幹細胞・エクソソームの役割と臨床的意義を明らかにすることを本研究課題の目的とした。具体的には、胎児の臓器成熟を評価可能な胎児由来のエクソソームを含む羊水中胎児由来miRNAおよびmRNAを同定し、母体血を用いてより低侵襲に予測可能なバイオマーカーとなり得るかを検討した。当院で羊水検査を妊娠16週に施行した妊婦、また妊娠38週に分娩した妊婦から羊水、母体血を採取した。羊水、母体血からtotal RNAを抽出し、RNA-seqを行い妊娠16,38週で有意に発現量の変化したmiRNAおよびmRNAを同定した。候補となるmiRNAおよびmRNAの発現量をRT-qPCRで解析した。RNA-seq解析の結果から、11個のmiRNAと21個のmRNAを候補として選出した。特に、miR-432-5pは妊娠38週の羊水中に比べて妊娠16週の羊水中に17倍近く発現しており、妊娠経過とともに有意に減少を認めた(P=0.0027)。miR-432-5pが制御するMAL遺伝子は食道や脳組織に局在しており、MAL遺伝子から転写されるprotein coding mRNAをRT-qPCRで発現量を解析すると、妊娠16週の羊水中に比べて妊娠38週の羊水中では7倍近く有意に上昇し、miRNAと逆相関の変動を認めた。母体血漿中のmiR-432-5pの発現量も、羊水と同様、妊娠経過に伴い発現量が減少する傾向が認められた。 以上より、本研究課題により、現時点の臨床ですでに可能な胎児の肺成熟の評価に加え、全身臓器の胎児成熟を評価し得る分子マーカーを同定した。今後、正常妊娠群と産科疾患群あるいは胎児疾患群とで胎児成熟と関連する遺伝子発現量を比較することで、分子マーカーによる胎児成熟評価法の開発のみならず、産科疾患や胎児疾患の重症度評価に応用できる可能性がある。
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