2019 Fiscal Year Research-status Report
低酸素・低体温刺激による生体内在性聴覚/嗅覚障害予防機構の活性化
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18K09341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 弥生 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (00452350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 周 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00555865)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 内耳 / 嗅覚 / 神経保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31(令和元)年度にはthy1-Brainbow3.2マウスの導入を試みた。現在、Tgマウスを使用するにあたり2つの課題があることが分かった。1)Tgマウスは(HemiもしくはHomi体)Wtマウスと比較して成長速度が遅い傾向がある。2)Creの導入率に差がある。AAV-Cre投与による遺伝子発現を試み。10^9, 10^11, 10^13 GC/mLのAAV-hSyn-Cre、AAV-CaMKII-Creを50μL, 100μL, 500μLずつ経頭蓋、軽内耳的に感染させたが、脳、内耳ともにGFPの発現は認められなかった。またThy1-YFP-Hマウスの蝸牛組織を観察したところ蝸牛神経にYFPの発現はみられなかった。先行分文献ではThy1-YFP-12マウスの蝸牛神経におけるYFP発現を認めることから、プロモーターの差ではなくCre導入率の差が原因であると考えられた。
嗅覚系においては、8週齢のC57BL/6マウスをコントロール食群(104 kcal/週)と36%カロリー制限食群(CR群、67 kcal/週)とに分けて、蝸牛、嗅上皮、嗅球での免疫組織学的所見、幹細胞・遺伝子分布を比較検討した。3ヶ月経過後、CR群ではコントロール群に比べ嗅細胞数ならびに成熟嗅細胞数が有意に減少していた。メチマゾール投与にて障害を起こした2ヶ月後の嗅上皮の回復過程はCR群で有意に抑制され、特に腹側領域において顕著であった。Real-timePCRでは、炎症性サイトカイン(IL-6およびCL-1)の発現がCR群において上昇していた。以上より嗅覚系においてはカロリー制限は負の効果をもたらすことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたマウスの聴覚神経系解析のためにBrainbowマウスを輸入する計画が海外からの手続き・検疫に時間がかかり一時期遅れていたが、その後は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに明らかになっている1) thy1-Brainbow3.2 Tgマウスの成長が遅い問題に対して、出産直後のgenotypingを行いTgマウスの隔離を行う、経産ICRマウスを用いた仮親を導入する、などにて安定した供給を試みる。また、2) 内耳へのCreの導入率・GFP発現に差がある問題に関しては、蝸牛神経特異的Cre発現マウスの作成を検討している。
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Research Products
(6 results)