2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hypoxia and hypothermia-induced activation of endogenous prevention of auditory/olfactory impairments
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18K09341
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉川 弥生 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (00452350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊田 周 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00555865)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 内耳 / 嗅覚 / 神経保護 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
低酸素ストレスが内耳および嗅上皮に与える影響について検討を行った。 内耳障害モデルとして、ICRマウスの生後3-5日齢30匹を用いて実験を行った。方法:ICRマウスの卵形嚢及び球形嚢を摘出し、耳石を除去して感覚上皮を摘出した。これをグルコースとペニシリンGを加えた無血清改変イーグル培地(DMEM)で1週間器官培養を行い、低酸素実験を行った。低酸素負荷を再現する薬剤として鉄のキレート剤であるDFX(Desferrioxamine mesylate salt)を使用し、内耳障害薬剤としてゲンタマイシン(GM)を使用した。DFX1日投与後にGMを1日投与し、その後通常培養液で培養した。結果:培養終了後の感覚毛数を測定したところ、GMのみとDFX(10uM)+ GMの群には有意差が見られ(P<0.05)、感覚毛の残存が多く見られた。また,GMのみとDFX(1uM)+ GMの群では有意差は見られず、DFX(100uM)+ GMの群ではGMのみと比較して感覚毛数は多かったが、DFX(10uM)+ GMの群より少ないことが判明した。以上より、DFXは前庭有毛細胞に対して濃度依存性に障害を与えるが低酸素ストレスは前庭有毛細胞の感覚毛障害に対して保護的に働く可能性があることが確認できた。 これに対して低酸素ストレスは嗅上皮組織に負の影響を与えることが新たな動物実験によって明らかになった。方法:10週齢の C57BL/6Jマウスの嗅上皮をメチマゾールで障害した3日後から2週間の睡眠剥奪状態におき、終了後に組織を解析した。結果:実験群と対照群のマウスで嗅上皮組織の状態には変化を生じないが、実験群では嗅上皮背内側核NADPH quinone oxido-reductase 1 (NQO1)陽性細胞の数が有意に減少し、2週間後の組織障害の回復に遅れが生じることが確認できた。
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