2018 Fiscal Year Research-status Report
唾液腺導管癌に対する個別化薬物治療に向けた治療効果予測因子についての探索的研究
Project/Area Number |
18K09386
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
多田 雄一郎 国際医療福祉大学, 医学部, 准教授 (70292430)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 俊孝 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (90276709)
赤澤 宏平 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (10175771)
伏見 千宙 国際医療福祉大学, 大学病院, 講師 (20623531)
平井 秀明 東京医科大学, 医学部, 助教 (00770744)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 唾液腺導管癌 / 唾液腺癌 / HER2 / アンドロゲン遮断療法 / トラスツズマブ / 治療効果予測因子 / 予後予測因子 / アンドロゲン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が主催している唾液腺導管癌(SDC)共同研究会における過去の再発転移例の予後と、当科で単施設臨床試験として施行した2つの薬物治療(抗HER2治療、抗AR治療)の予後を比較したところ、新しい薬物治療は従来の治療方法と比べ、生存期間の延長が期待される結果を得た。この解析結果を2018年ASCOにてポスター発表を行なった。 切除不能再発転移唾液腺癌症例に対する全身薬物療法としてNCCNガイドラインでは、2018年版より、殺細胞性抗がん剤のほか、SDCでは、HER2、アンドロゲン受容体(AR)のタンパク発現を検索し、それぞれ抗HER2治療、抗AR治療が推奨されるようになった。しかし、これらの3種の薬剤の全てが適応ありと考えられるSDC症例が存在している。それらの使い分けに関する研究、解析はいまだになされていないため、本研究では、当科で施行した抗HER2治療(トラスツズマブ+ドセタキセル併用療法)、抗AR治療(最大アンドロゲン遮断療法:リュープリン+ビカルタミド併用療法)の2つの前向き試験の症例群に対して、各種の臨床病学的因子を後ろ向きに検討し、予後との関連を検索した。 予備的な解析結果については2018年4月、2019年10月に発表した2つの論文のSupplementary dataと、第8回国際医療福祉大学学会学術大会で報告した。予備的解析の結果では、トラスツズマブ+ドセタキセル併用療法において、薬のドセタキセルの相対用量強度 (relative dose intensity:以下,RDI)が0.7未満の症例で、有意に奏功率と臨床的有用率が不良であることが判明した。しかし、その他にトラスツズマブ+ドセタキセル療法、リュープリン+ビカルタミド併用療法の予後に影響を与える因子は判明しなかった。 今年度は、症例数を増やし、かつ、解析項目も追加し解析を続ける予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
切除不能再発転移唾液腺導管癌症例に対する2つの前向き薬物療法の試験結果を論文化した。(抗HER2治療https://doi.org/10.1200/JCO.18.00545、抗AR治療https://doi.org/10.1093/annonc/mdx771)。 この2つの論文のSupplementary dataにて、抗HER2治療は57例、抗AR治療では36例における治療効果予測因子に関する予備的な解析結果を公表した。また第8回国際医療福祉大学学会学術大会でも予備的解析結果を報告した。 2018年末までの間に、当科において、抗HER2治療は91例、抗AR治療は99例に施行した。現在、症例数を増やしての解析を継続している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年末までの間に、抗HER2治療は91例、抗AR治療は99例に施行し、予備的解析を施行した際よりも症例数が増加している。解析対象症例数を増やしてより正確な統計解析を目指す予定である。 解析項目については、予備的解析の時点では、臨床情報として、年齢、性別、PS、局所再発vs遠隔転移、全身治療歴の有無、内臓転移の有無、ドセタキセルRDIを、免疫組織化学染色として、HER2、AR陽性率を、遺伝子変異として、PIK3CA遺伝子、H-RAS遺伝子変異の有無を解析して報告した。 今年度は、臨床情報として、体重、BMI、および、CRP、mGPS、NLR(好中球-リンパ球比)、PLR(血小板-リンパ球比)、HbA1c、PSA、テストステロンの採血データを、免疫組織化学染色として、Ki67、CK5/6、p53、HER3、PTEN、p-Akt、PI3K、FOXA-1、Adipophilinを、遺伝子の検査として、BRAF、TP53、FOXA1、AKT各遺伝子変異の有無を、さらにPTEN FISHによるPTEN欠失の有無を、それぞれ解析項目を増やして検討中である。 解析結果については、途中解析結果として、今年度中に学会報告を行なう予定である。
|
Causes of Carryover |
(理由) 統計学的解析結果により、免疫組織化学的検討・遺伝子変異の検索に使用する試薬の検討をし直す必要があり、これらの薬品の購入が遅れた。 (使用計画) 抗体試薬品・FISH検査用プローブの購入を予定している。
|
-
-
-
-
[Presentation] Novel approach for unresectable salivary duct carcinoma: Targeting HER2 and androgen receptor.2018
Author(s)
Daisuke Kawakita, Yuichiro Tada, Chihiro Fushimi, Hideaki Takahashi, Tatsuo Masubuchi, Kouki Miura, Satoshi Kano, Kiyoaki Tsukahara, Hiroyuki Ozawa, Kenji Okami, Yuichiro Sato, Akira Shimizu, Yorihisa Imanishi, Toyoyuki Hanazawa, Mizuo Ando, Hideaki Hirai, Toshitaka Nagao
Organizer
American Society of Clinical Oncology Annual meeting 2018
Int'l Joint Research
-
-
-
-
-