2020 Fiscal Year Annual Research Report
Role of retinoic acid on cranio-maxillofacial bone during growth period
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18K09477
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
峯岸 芳樹 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (10467566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 成行 北里大学, 医学部, 特別研修生 (50506243)
中井 國博 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (80362705)
冨田 興一 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (90423178)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 頭蓋顎顔面 / レチノイン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
レチノイン酸(RA)は多数の遺伝子発現の促進や抑制を制御しており、組織の発生、パターニング、細胞の増殖・分化など多数の事象に関係している。しかしながらRAは催奇形性があることが知られており、胎児期に過剰に暴露されると口蓋裂、短肢症、無脳症など致命的奇形を生じ、生後致死となってしまう。このため成長期にRAが頭蓋顎顔面骨成長に及ぼす影響は検討できなかった。 本研究では増殖軟骨である11型コラーゲン特異的にRA分解酵素であるCyp26b1を欠失したconditional KO(cKO)マウス(Cyp26b1 ⊿chonマウス)を作成し、研究に用いることで、RA過剰の影響を増殖軟骨細胞のみにとどめることで致死を回避し、RAが成長期に頭蓋顎顔面領域に対して及ぼす影響を表現型解析により検討した。 Cyp26b1 ⊿chonマウスは野生型マウスと比較して形態的には中顔面の低形成と下顎突出を認めた。表現型の強い個体では哺乳までは可能であったが、離乳後に餌食が上手にできず致死となった。また餌食ができても反対咬合のため下門歯が噛み合わずに鼻に突き刺さるほど異常に伸び、次第に餌食ができなくなることで致死にいたる個体もいた。顎顔面領域の形態は野生型マウスと比較してCyp26b1 ⊿chonマウスでは頭蓋底の短縮を認め、これが中顔面の低形成に寄与していることが示された。一方で下顎の成長には大きな相違はなく、下顎の突出は中顔面の低形成に伴った相対的なものであった。 成長期の頭蓋顎顔面の成長においてRAの厳密な制御が必要であり、RA過剰は胎生期での口蓋裂奇形を招くだけでなく、成長期においても中顔面の成長障害の原因となることが示された。
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