2019 Fiscal Year Research-status Report
乳児血管腫におけるstem cellの関与 ~増殖・分化制御機構の解明~
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18K09481
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
櫻井 沙由理 (大澤) 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (20594534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 正 神戸大学, 医学部附属病院, 特命講師 (30529566)
大崎 健夫 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (30444582)
榊原 俊介 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (50444592)
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 教授 (80217421)
橋川 和信 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90403237)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳児血管腫 / 脈管性腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳児の増殖期は,未分化な血管内皮細胞の高度な細胞増殖によって特徴付けられる。一方,退縮期に入ると,血管内皮細胞は徐々に減少して,比較的口径の大きな血管に変化し,それとともに周囲に脂肪組織が増えていく。このような,退縮期での脂肪組織への置換は極めてユニークな生物学的変化であり,このように振る舞う固形腫瘍は存在しない。このIHの主体をなす血管内皮細胞は分化能を有する未分化な細胞から構成されている。このような独自の特徴をもつIHの血管内皮細胞のうち,幹細胞マーカーであるCD133による分離によって得られる乳児血管腫由来幹細胞(hemangioma-derived stem cell;HemSCと略す)は脂肪,骨や神経に分化する多分化能を有することが既に証明されている。しかしHemSCがIHの増殖や退縮にどのように関わっているかは今なお不明である。われわれは,IHの増殖や退縮においてHemSCがまさに「司令塔」としての役割を果たしているとの仮説を立て,増殖期あるいは退縮期において,「どのような制御下であるいは生化学的刺激によって,HemSCが乳児血管腫の増殖や退縮に関わっているのか?」という命題を立てた.増殖期の乳児血管腫よりサンプルを採取し,Fluorescein isothiocyanate(FITC)ラベルのCD133抗体を用いたflow cytometryでは細胞を単離することができず,explant法で細胞培養を行った.Explant法では乳児血管腫よりHemSCが得られ,複数のサンプルをストックすることができた.またMTTアッセイで増殖能を確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
増殖期の乳児血管腫よりサンプルを採取し,Fluorescein isothiocyanate(FITC)ラベルのCD133抗体を用いたflow cytometryでは細胞を回収する手法を用いたが、効率が極端に悪く,単離することが困難であった.また,線維芽細胞や細菌のcontaminationも認められた.その理由としてはラベルする抗体の質的な問題や処理時の技術的問題が挙げられる.その後explant法で内皮細胞の初代培養をおこなったものの、技術的な慣れが必要で、計画より遅延した。
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Strategy for Future Research Activity |
代表ならびに分担研究者はこれまで脈管奇形に対するexplant法での初代培養の経験が豊富であり,方針を変更して、本法での初代培養を適用した。Explant法では乳児血管腫よりHemSCが得られ,複数のサンプルをストックすることができたことからこのまま本方法でHemSCを採取する。続いてHemSCと様々な血管内皮細胞との共培養による遊走能検討を行う予定である。細胞遊走アッセイシステムを用い、多孔性のチャンバー膜の上面に細胞浮遊液を滴下し,膜の下にはHemSCを培養した上清を添加したmediumを入れ、24、48時間の培養の後、内皮細胞を細胞数を計測する。対照群 と比較してHemSCに対する走化性を確認する。Flt-1の発現についてreal-time PCRを用いて定量的に検討することを計画している。
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Causes of Carryover |
(理由)手術で得られた標本が予想より少なかったため,細胞培養等のコストが当初計画より少なくなった.また実験助手の退職により研究者自身が主に実験する機会が多く,人件費の拠出が少なかった. (使用計画)次年度では,細胞培養に加え,免疫組織学的検討やセルソーティングに必要な試薬の購入で計画している予算が必要である.
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Research Products
(11 results)