2019 Fiscal Year Research-status Report
ウロココラーゲンの骨増生における生体足場材料としての効果
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18K09647
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
戸田 伊紀 大阪歯科大学, 歯学部, 准教授 (20197891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上村 守 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (30351472)
川島 渉 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (60749240)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ウロココラーゲン / 骨増生 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚類の鱗から精製されたウロココラーゲンはタイプⅠコラーゲンであり、線維化能や細胞増殖能、さらには骨形成関連細胞の分化促進に優れているとされることから、骨増生時に細胞の増殖が進み、骨形成も進むと予想される。一方、従来のウシ・ブタ由来コラーゲンは人獣共通感染症の危険を払拭できないため、これに代わる生体足場材料として、ウロココラーゲンは臨床での応用が期待できる。そこでウロココラーゲンの効果を検証するために、実験動物にウロココラーゲンスポンジを用いて実験を行い、ウロココラーゲンスポンジの効果を検討した。 令和元年度では、従来のウシ・ブタ由来コラーゲンとの比較を行うために、実験動物のラットを3群に分け、すべてのラットに全身麻酔を施して頭蓋冠に直径8ミリの骨欠損を形成し、ウロココラーゲンスポンジを充填する群、従来のブタ由来コラーゲンスポンジを充填する群、さらに骨欠損になにも填入しない対照群の3群として外科処置を行った。術後2週、4週、8週で実験動物を安楽死させ、両側総頸動脈からホルマリン溶液による灌流固定後、実験部位を摘出して標本作製を行った。術後4週と術後8週では、摘出した実験部位の軟X線撮影装置による撮影を行い、骨欠損部での新生骨形成の解析を行って、ウロココラーゲンスポンジの応用の有無による、骨形成の比較を行った。また術後2週では、組織学的標本を作製して通常染色とタイプⅠコラーゲンの免疫染色を行い、光顕にて観察を行った。 その結果、ウロココラーゲンスポンジを応用すると、術後4週で骨形成を認め、術後8週ではさらに骨形成が進んでいた。さらに、無填入の対照と比較したところ、対照よりもウロココラーゲンスポンジの方が、骨形成が進む傾向を示していた。しかしながら今回の実験では、ブタ由来コラーゲンの方が骨形成は進んでいた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験動物の頭蓋冠骨欠損へのウロココラーゲンスポンジを応用した実験を行い、最小限の実験動物を使用して術後2、4、8週後の骨形成について対照と比較し、さらにはブタ由来コラーゲンスポンジと比較して、ウロココラーゲンの効果に関する検索を行った。しかしながら、本研究機関所有のマイクロX線CT撮影装置の故障によって骨欠損部位のデータが得られず、外部機関による撮影を委託中のためデータの採取と、その後の標本作製にやや遅れが生じている。 なお、これまでの結果の一部については論文発表や学会発表にて公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
ウロココラーゲンを実験動物の骨欠損に応用し、治癒過程における骨形成と微細血管構築の変化について調査を行う。また従来のウシ・ブタ由来コラーゲンとの比較結果に伴い、再度追加実験を行い、ウロココラーゲンの生体応用におけるブタ由来コラーゲンとの差異を明確にし、ウロココラーゲンの効果を調査する。
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Causes of Carryover |
実験への使用動物数を最低限にしたことや、標本作製に要する消耗品が安価であったこと、情報公開のための学会がコロナウイルス感染対策のため中止となり参加を取りやめたことによって次年度使用額が生じた。また、マイクロX線CT撮影装置の故障によりデータが得られなかった事から外部機関による次段階の標本作製へと進めなかったことも理由に上げられる。 次年度は、計画通りの研究の実施に加えて、標本作製の外部委託を開始する予定である。
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