2019 Fiscal Year Research-status Report
食事介助における被介助者の視線と口腔運動から見た、最適食事介助法の提案
Project/Area Number |
18K09656
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐藤 直子 (五十嵐直子) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20313520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 一浩 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70379080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食事介助 / 咀嚼運動 / 捕食 / 視線 / 姿勢 |
Outline of Annual Research Achievements |
【方法】健常成人男性8名(平均年齢24.8歳)を被介助者とし、介助者は同一の1名が行った。被介助者は背板のないイスに着座し、介助者は被介助者の右側に座る。介助者は、直径15mm、高さ15mmの円柱形のリンゴ片を刺したフォークを手に持って、被介助者にリンゴを食べさせた。その際に食物を近づける方向は、被介助者の口裂に対し、上方20度、水平、下方20度の3種とした。また、被介助者の前方に設置したテーブル上にフォークに刺さったリンゴを置き、被介助者自身でフォークを把持して食べるタスクを行った。上記の4種類の食物取り込み動作において、被験者の頭部、体幹、フォークの合計20箇所に標点を取り付け、三次元動作解析装置VICON(Vicon Motion Systems Ltd. UK)を用いてその動きを記録した。得られたデータより、オトガイ等の動きを解析し、食物取り込み動作間で比較した。また、注視点計測装置 Dekablis (ERGONEERS, 独・米)を用いて、被介助者の食物取り込み時の視線の位置を検索した。 【結果と考察】介助において食物が上方および水平から向けられた場合には、自力摂取の場合に比べ、頭部は大きく後屈しており、被験者の口腔の食物取り込み運動の初期が延長していた。口腔内に食物が入ってからの相の口腔運動には変化がなかった。取り込み運動時に、被介助者の視線は、食物が比較的遠方にあるうちは食物周囲を追跡するが、食物の近接に伴い視線が急速に外れる様子が、一部のケースにおいて観察された。 食事介助において、被介助者に食物を向ける方向は、被介助者の口腔の取り込み運動に影響を与えるため、留意するべき介助要件であることが示唆された。一方で、被介助者の視線は、食物の位置によって影響を受け、食物が近接すると視線の追跡が中断することが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
咀嚼運動の観察はほぼ予定通り行うことができた。しかし視線計測においては、視線の動きが予想以上に大きく、測定可能範囲の調整に苦慮しており、計測が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
連携研究者の協力を得て、視線計測装置を改造・調整して、測定範囲を拡大し、測定例数を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
視線計測装置の調整に手間取っていたため、予定していた実験が十分には行えなかったため次年度に移行する使用額が生じた。 2020年度には、2019年度に不足した分の実験を行う予定であり、研究費は、その実験・分析費用と成果発表費用に充てる。
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