2019 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学的手法を用いたオレキシンの咀嚼運動に関わる調節機構の解明
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18K09689
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
池田 美菜子 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (90551268)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 富雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (70184760)
馬場 一美 昭和大学, 歯学部, 教授 (80251536)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オレキシン / 三叉神経運動核 / 三叉神経中脳路核 / 光遺伝学 / 薬理遺伝学 / ブラキシズム / スボレキサント |
Outline of Annual Research Achievements |
神経ペプチドであるオレキシンは運動ニューロンが存在する三叉神経運動核に作用し、咀嚼筋活動を亢進する作用を示す。我々は、オレキシンは感覚ニューロンが存在する三叉神経中脳路核に対して神経活動を抑制することを見出した。過去の咀嚼運動に関する報告のほとんどは、オレキシンの三叉神経運動核への影響を検討したもので、三叉神経中脳路核への作用を調べた研究はほとんどなく、オレキシンの感覚ニューロンの抑制作用は、咬合感覚の精度を上げてスムーズな咀嚼運動を遂行するのに深く関与していることを示唆する。そこで本研究では、生理的状態のオレキシンが三叉神経領域を介して咀嚼運動にどのように影響するのか、さらにオレキシンの三叉神経中脳路核に対する抑制作用が咀嚼運動にどのように影響するのか、生体レベルで解明することが目的である。これらの因果関係を明確に示せれば、現在、睡眠導入剤として日本で処方されているオレキシン受容体拮抗薬「スボレキサント(ベルソムラ)」が咬合感覚異常やブラキシズムの治療薬となると期待できる。 2018年度は、まず基礎データとして、野生型マウスの三叉神経運動核の周囲にオレキシン神経からの投射があるかどうか検討した。2019年度は、三叉神経運動核に投射する別の領域である中脳水道周囲灰白質腹外側部(ventlateral periaqueductal grey: vlPAG)に存在するGABA神経の活動性を制御したときの咬筋活動性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は、まず基礎データとして、三叉神経運動核の周囲にオレキシン神経からの投射があるかどうか検討した。全身麻酔下で、野生型マウスの両側の三叉神経運動核に逆行性のAAVベクターであるAAV-CAG-tdTomatoを注入し、3週間飼育した。3週間後、灌流固定を行い、脳切片を作製して観察したところ、視床下部外側野に局在するオレキシン産生ニューロンから三叉神経運動核周囲に投射があることがわかった。このことから、オレキシンが三叉神経運動核に存在するニューロン、特に三叉神経運動ニューロンの機能に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆される。2019年度は、三叉神経運動核に投射する別の領域である中脳水道周囲灰白質腹外側部(ventlateral PAG: vlPAG)に存在するGABA産生ニューロンの活動性を制御したときの咬筋活動性を検討した。GABAは抑制性神経伝達物質の1つで、睡眠覚醒調節に重要な役割を担っている。オレキシン産生ニューロン上のGABAB受容体を欠失させたマウスでは睡眠の分断化が生じたことから(Matsuki T. et al. Proc Natl Acad Sci USA, 2009)、オレキシン系とGABA系は密に関連して睡眠覚醒を制御していることが考えられる。そこで、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを応用した光遺伝学的、または薬理遺伝学的手法を用いて、vlPAGに存在するGABA産生ニューロン特異的に活性化あるいは不活性化させたとき、睡眠覚醒にどのような変化が生じるか、さらに、咬筋の活動性にどのような変化が生じるか検討している。しかしながら、vlPAGは吻尾方向に広く分布しているため、2020年度現在も継続して検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
オレキシン産生ニューロン特異的にDNA 組み換え酵素であるCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウス(Orexin-Creマウス:理研バイオリソースセンターから購入(〔RBRC0680〕)にAAVベクターを用いてCre依存的にhM3Dq(AAV-hSyn-DIO-hM3D(Gq)-mCherry)あるいはhM4Di(AAV-hSyn-DIO-hM4D(Gi)-mCherry)を発現させる。hM3DqあるいはhM4Diは、Clozapine N-oxide(CNO)とよばれる合成リガンドによってのみ活性化される受容体で、これらの受容体が発現した細胞では、CNOを腹腔内投与することにより、その細胞の活動性を活性化したり(hM3Dq)、あるいは抑制する(hM4Di)ことが可能となる。この方法を用いて、オレキシン産生ニューロンの活動性を人為的に制御することができるマウスを作出する。
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Causes of Carryover |
(理由) オレキシン産生ニューロン特異的にGABAA受容体が欠失するマウス(GABAA flox/flox ;orexin-Creマウス)を作出するために、GABAA受容体-floxマウス2019年度内に米国The Jackson Laboratory社より購入する予定であったが(B6;129-Gabrb3tm1Geh/J, Stock No. 002711)、2020年度に購入することにしたため。 (使用計画) 現在検討しているGABAとオレキシンの関係性をさらに検討すると同時に、GABAA flox/flox ;orexin-Creマウスを作出する。このマウスを詳細に解析することで咬筋の活動性に対してオレキシンやGABAがどのように関与するのか、一端が解明できる可能性がある。
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Research Products
(1 results)