2018 Fiscal Year Research-status Report
Ectopic orofacial pain mechanisms following inferior alveolar injury
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18K09732
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
澁田 郁子 (鈴木郁子) 日本大学, 歯学部, 専修研究員 (60459906)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 雅路 日本大学, 歯学部, 准教授 (20362238)
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 教授 (60160115)
久保 亜抄子 日本大学, 歯学部, ポスト・ドクトラル・フェロー (70733202)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 下歯槽神経損傷 / 異所性疼痛 / サテライト細胞 / 三叉神経節 |
Outline of Annual Research Achievements |
三叉神経損傷により、創傷が治癒した後にも口腔顔面の広い領域に異常疼痛が発症することがある。本プロジェクトでは、損傷部位を超えた口腔顔面の広い領域に発症する神経障害性疼痛の神経機構を解明する目的で、下歯槽神経切断モデルラットを作製して三叉神経節に発現するサテライト細胞にターゲットを絞り研究を進めた。 まず、SD雄性ラットの顔面皮膚および咬筋の一部を切開し下歯槽神経を露出し、絹糸にて2か所を結紮してその中央部を切断し、下顎管内に戻した。下歯槽神経切断7日後に顔面皮膚の三叉神経第Ⅱ枝支配領域の皮膚に機械あるいは温度刺激を与え逃避行動閾値を測定した。下歯槽神経切断後1日目から5日目まで、切断側の顔面皮膚に機械痛覚過敏を生じた。非切断側では下歯槽神経切断後1日目のみ顔面皮膚に機械痛覚過敏を生じた。下歯槽神経切断後、三叉神経におけるNitric oxide (NO)が切断側の三叉神経節において有意に増加し、三叉神経節第Ⅱ枝領域において神経型NOS(nNOS)陽性細胞数が増加した。切断側の顔面皮膚に生じた機械痛覚過敏は、nNOS阻害薬の三叉神経節内投与により有意に抑制された。また、切断側の三叉神経節におけるnNOS陽性細胞周囲のサテライト細胞に活性化が見られ、その活性化はnNOS阻害薬の三叉神経節内投与により有意に抑制された。さらに、下歯槽神経切断後に切断側の顔面皮膚に生じる機械痛覚過敏は、サテライト細胞活性化阻害薬の投与により抑制された。 よって、下歯槽神経切断により損傷を受けた三叉神経節細胞から放出されるNOによるサテライト細胞活性化が、損傷部位を超えた口腔顔面の広い領域に発症する神経障害性疼痛に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、研究計画に従っておおむね順調に研究が進んでいる。まだデータ不足であるが、「Involvement of satellite cell activation underlying nitric oxide mechanisms in ectopic orofacial pain」という題名で論文執筆も始めている。当講座では、顎顔面領域の機械刺激の対する逃避閾値の計測に関して、頭板状筋のEMGの変化を指標とした計測法を確立している。この計測法によって、より正確で客観的な逃避閾値の計測が可能であることから、効率的に実験を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も交付申請書に記載した研究計画に従って、研究を進める予定である。本年度は、昨年度と同様の方法で作製したモデルラットを用いて、三叉神経節における神経興奮マーカーであるphosphorylated extracellular signal-regulated kinase (pERK) 陽性細胞発現を指標として、下歯槽神経切断後の三叉神経節細胞の興奮性増強に対するサテライト細胞活性化阻害薬の影響について解析する。さらに、下歯槽神経切断による三叉神経節細胞の興奮性変化に対する責任分子の検索および三叉神経節細胞の興奮性増強によるサテライト細胞の微細な形態学的変化の解析も行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画どおり経費を使用したところ、必要と予想していた数量より少ない数量で結果を出すことができたため、端数が生じた。 次年度への繰越金は、平成31年度の助成金と合わせて実験に関わる物品費に使用する。本年度は、実験動物、実験試薬や実験器具などの消耗品の購入や成果発表のための学会出張費が必要となる。
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Research Products
(1 results)