2022 Fiscal Year Research-status Report
骨成長因子・骨再生材料を用いた唇顎口蓋裂患者の顎裂部骨移植術の臨床的研究
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18K09750
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
西原 一秀 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (30253892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (00294570)
岐部 俊郎 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (50635480)
後藤 尊広 琉球大学, 病院, 講師 (60578912)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 顎裂部骨移植術 / 骨補填材 / 唇顎口蓋裂 / 骨成長因子 / リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇(口蓋)裂患者の顎裂部骨移植術の目的は、上顎骨の顎裂部骨欠損部を修復して上顎歯槽形態を改善するのみならず顎裂内に隣在歯の萌出、移動などによって審美的・機能的な咬合関係をもたらすことである。現在、骨移植術の移植骨は、自家骨を用いることが多いが、本研究では自家骨の代わりに骨成長因子ならびに人工骨再生材料が適切な骨架橋の形成および術後の矯正治療などを可能にするか否かを検証することである。 まず、はじめに琉球大学病院歯科口腔外科、鹿児島大学病院顎顔面口腔外科ならびに沖縄赤十字病院歯科口腔外科で行った骨移植患者の骨架橋幅などの評価を適切に行うために、CBCTを用いた三次元的な評価方法を考案した。現在は、本評価法でこれまでの症例を分析して骨移植術後の治療成績を学会、論文で報告している。 さらに、研究分担者の岐部は、新規骨再生誘導材OCP/Collagen(リン酸オクタカルシウム・コラーゲン複合体)の多施設共同単一群試験(UMIN ID:000018192)に参加し、片側性唇顎(口蓋)裂患者で術後6か月に移植部に永久歯の萌出が確認されて良好な結果が得られたと報告し、人工骨材の有用性を報告した。OCP/Collagenの骨移植は、骨架橋や永久歯の萌出において骨移植とほぼ同様な結果を示したことから、自家骨と同様な機能を果たす材料として十分に期待できると考えられる。 今年度までコロナ禍の影響で、骨移植術の手術症例数が減少してやや研究は遅れていたが、口蓋裂学会雑誌や講演会でこれまでの研究結果の一部を報告することができ、今後の研究の進展に期待ができると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度から引き続き唇顎(口蓋)裂患者に自家腸骨海綿骨移植術を施行し、術後経過をパノラマX線写真、CT画像による三次元的評価を行っているが、コロナ禍の影響で手術症例数が制限された。また、学会で成果発表ならびに研究打ち合わせの機会が少なくなり、若干の研究の遅れが生じている。 今後は、その遅れを取り戻すとともに、手術症例を増やしCBCTおよびCT画像による三次元的評価で自家骨と骨補填剤の有用性を検討するために研究期間を延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遅れを取り戻すために、本年度は唇顎(口蓋)裂患者の顎裂部骨移植術の症例数を増やすとともに共同研究者および関連施設と共同して臨床症例数を増やす予定である。 また、共同研究者と積極的に相互理解を深めるために研究打ち合わせならびに会議を行っており、今年度はこれまでの研究成果を再度整理して6月に韓国ソウルで行われる国際学会で発表するとともに最終報告書をまとめる予定である。 今後は、自家骨以外の骨材による骨再生医療の確立を目指し、人工骨を用いた骨移植術を積極的に行い、その術後結果の検証を進めて、人工骨材料の有用性を検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響で、研究打ち合わせや研究成果発表が行えなかったために差引額が生じたが、今年度中に補填材の購入および国際学会の発表でより研究を推進し、その成果を報告する予定である。
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Research Products
(7 results)