2019 Fiscal Year Research-status Report
ビタミンC不足に伴う骨質低下が進行性下顎頭骨吸収の発症に及ぼす影響と予防法の開発
Project/Area Number |
18K09785
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 正治 新潟大学, 医歯学系, 教授 (80195792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 渉 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (10437030)
長谷部 大地 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30571905)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 進行性下顎頭骨吸収 / 骨強度 / 骨質 / コラーゲン架橋 / 骨形成促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行性下顎頭骨吸収(PCR)とは、下顎頭の著明な吸収像を特徴とする病態で、下顎後退症の発症や下顎骨前方移動術後の後戻りの主たる原因として注目されており、その発症には下顎頭部にかかる力学的負荷の量と負荷に対する骨の許容力(骨強度)が関与している。本研究では、Ⅰ型コラーゲン生成不全や骨芽細胞の分化抑制によって骨質低下を認めるラットの下顎頭に負荷をかけた時の下顎頭への影響を解明するとともに、PCRの予防法を開発することである。当初、ビタミンC欠乏症を引き起こすODSラットを用いてビタミンC摂取量の違いが骨質に及ぼす影響について検討したが、下顎頭形態や骨梁の微細構造にビタミンC摂取量の違いによる明らかな差は認められなかった。そこで、コラーゲン線維の収束化を阻害するβ-Aminopropionitrile (BAPN)をラットに投与し、下顎頭形態や骨梁の微細構造への影響を調査した。生後4週よりWistarラットにBAPNを0.2% (500mlの水にBAPN1.0g溶解)の濃度で飲み水へ溶解し投与した。飲水は自由飲水とした。BAPN投与して4週、8週でと殺を行い、それぞれの個体より大腿骨と下顎骨を採取し、μCTを用いて骨密度や骨梁の微細構造を観察した。その結果、BAPN投与群では、未投与群と比較して骨密度が低下し、下顎頭表面の皮質骨に骨吸収を認めた。並行して、10週齢Wistarラットを用いて右側下顎骨体部において骨切りを行い、骨延長装置を装着して5日後より1回0.175mmの骨延長を1日2回、10日間かけて合計3.5mmの骨延長を行い、骨髄由来間葉系幹細胞培養上清(MSC-CM)の持つパラクライン効果が下顎頭骨吸収の進行抑制に寄与するか検討した。その結果、MSC-CM投与した群では未投与群と比較して下顎頭の吸収が有意に抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ビタミンC欠乏症を引き起こすODSラットを用いてビタミンC摂取量の違いが骨質に及ぼす影響について検討したが、下顎頭形態や骨梁の微細構造に明らかな差は認められなかったことから、コラーゲン線維の収束化を阻害するβ-Aminopropionitrile (BAPN) 0.2%濃度とした飲み水をWistarラットに投与し、下顎頭形態や骨梁の微細構造への影響を調査したところ、BAPN投与により骨密度の低下と下顎頭表面の骨吸収を確認した。並行して、Wistarラットを用いた下顎骨骨延長モデルに骨髄由来間葉系幹細胞培養上清(MSC-CM)を投与して下顎頭骨吸収の進行抑制効果を検討したところ、MSC-CM投与群では未投与群と比較して下顎頭の吸収が有意に抑制された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、生後4週よりβ-Aminopropionitrile (BAPN)投与して骨質の低下したWistarラットを用いて下顎骨延長術を施行する。下顎骨延長術は、われわれがこれまで報告してきたプロトコールに従って10週齢時に右側顎下部に切開を加え下顎骨体部において骨切りを行い、骨延長装置を装着して5日後より1回0.175mmの骨延長を1日2回、10日間かけて合計3.5mmの骨延長を行い、骨延長終了時、終了後4週、8週でと殺を行い、μCTを用いて骨密度や骨梁の微細構造を観察して骨質低下による下顎頭部へのメカニカルストレスの影響を検索するとともに、骨髄由来間葉系幹細胞培養上清(MSC-CM)を応用した下顎頭骨吸収を抑制するための治療法を検討する。
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Causes of Carryover |
2020年4月16-17日に新潟で開催予定であった第74回日本口腔科学会学術集会の参加費ならびに5月30-31日に仙台で開催予定であった第58回日本口腔科学会北日本地方部会の参加費と旅費に使用予定であった。
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Research Products
(2 results)