2018 Fiscal Year Research-status Report
Molecular mechanism of hypoxia-induced modification of cytokine cascade in periodontal ligament cells
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18K09846
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
白川 哲夫 日本大学, 歯学部, 教授 (00187527)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 低酸素暴露 / angiogenin / VEGF / C/EBPβ / RANKL / HIF-1α |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト乳歯から作製した不死化歯根膜細胞SH9を用いて実験を行った。SH9細胞の培養には10%FBSを含むα-MEMを培地として用い, CO2濃度を5%, 37℃の条件で培養し実験に供した。この培養条件をコントロール群とし, SH9細胞を低酸素環境に曝露するためアネロパック-ケンキ5%と専用ジャーを用いてO2濃度を0.1%以下, CO2濃度を5%に設定し, 37℃で24時間培養したものを実験群とした。 SH9細胞を,通常酸素濃度あるいはO2濃度0.1%以下で24時間培養し, 各サンプルから全RNAを抽出してRT-qPCRを行ったところ,IL-6, MIF, TNF-α, OPG, HIF-1αの発現には培養条件による差は認められなかったが, angiogenin,VEGF,RANKL,C/EBPβは低酸素曝露により発現レベルの有意な上昇が認められた。 SH9細胞を両条件で24時間培養後, 各サンプルの細胞溶解液を調整してWestern blot法にてangiogenin,VEGF,RANKL,C/EBPβ,HIF-1αのタンパク発現量を測定したところ, 低酸素曝露によりいずれについてもタンパク発現レベルの有意な上昇が確認された。 prolylhydroxylaseの阻害剤であるdimethyloxaloylglycine(DMOG)を培養液に加えてSH9細胞を24時間通常培養したところ, Western blot法にてDMOG投与群でのHIF-1αタンパクの有意な上昇を確認した。続いて同条件にて培養したSH9細胞でのangiogenin,VEGF,RANKL,C/EBPβのmRNA発現を検討したところ, いずれもDMOG投与群で有意な上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に供する不死化歯根膜細胞の入手と維持,試薬類の購入,培養環境の整備,アッセイ系の確立などをほぼ計画どおりに進めることができたので,平成30年度の研究計画はおおむね予定どおり実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って今後の研究を進める予定である。低酸素暴露によって発現量が変化することが明らかになったangiogenin,VEGF,RANKL,C/EBPβの各遺伝子のプロモーター領域をクローニングし,DNA配列とプロモーター活性の関係を検討するとともに,低酸素暴露した歯根膜細胞から抽出したDNAについて同じプロモーター部位のCpGメチル化レベルをエピジェネティクスの手法(バイサルファイトシークエンス法など)により調べる。 CpGメチル化の変化を,通常下で培養した細胞,低酸素暴露直後の細胞,および低酸素暴露後に通常条件下で数世代以上継代培養した細胞間で比較する。それにより,プロモーター上で転写調節に関与している部位において,メチル化レベルの変化とプロモーター活性が相関していることを確認できるとともに,CpGメチル化の長期的維持(細胞記憶)がプロモーター上のどの部位で生じているのかを明らかにできる。
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Causes of Carryover |
次年度への繰越額は817,265円となった。その理由として,平成30年度に予定していた研究について,試料となる細胞を国内の他の研究組織に所属する研究者から無償供与されたこと,研究用器材と消耗品類について,新たに購入が必要となったものが予定より少なかったこと,キャンペーンなどを利用し,物品費が安く抑えられたこと,人件費・謝金の支払いが発生しなかったこと,研究打ち合わせのための旅費を使用しなかったことなどが挙げられる。 次年度は国際学会での発表が決定しており,開催場所がメキシコであることから旅費滞在費として50万円以上の支出が必要となっている(2名が発表予定)。平成30年度からの繰越金の一部をその学会発表に必要な費用に充てる予定である。 次年度の研究計画について,予定している実験を実施するにあたって消耗品,試薬類の購入が新たに必要であり,また成果発表として投稿料も必要と考えられることから,当初の計画どおりの物品の購入とその他の必要経費の使用を予定している。
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