2018 Fiscal Year Research-status Report

周術期乳癌患者への予知的口腔支援システムの構築

Research Project

Project/Area Number	18K09873
Research Institution	Tohoku University
Principal Investigator	丹田奈緒子東北大学, 大学病院, 助教 (00422121)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	石田孝宣東北大学, 医学系研究科, 教授 (00292318) 鷲尾純平東北大学, 歯学研究科, 講師 (20400260) 岩永賢二郎東北大学, 歯学研究科, 助教 (20448484) 玉原亨東北大学, 歯学研究科, 助教 (40756235) [Withdrawn] 多田寛東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50436127) 高橋信博東北大学, 歯学研究科, 教授 (60183852) 小関健由東北大学, 歯学研究科, 教授 (80291128)
Project Period (FY)	2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords	乳癌 / 骨転移 / 口腔支援
Outline of Annual Research Achievements	乳癌は女性で最も罹患率が高い悪性腫瘍である。微小転移、骨転移しやすいこと、骨密度の低下を伴うことから長期的な病状の制御と薬物療法が必要とされる。薬物療法の有害事象である口腔粘膜炎や顎骨壊死の発症を予測し予防することは長期的なQO L維持のために極めて重要である。２型アルデヒド脱水素酵素のALDH2遺伝子多型はアセトアルデヒドの体内蓄積を引き起こし骨折と関連することが報告されている。本研究では、ALDH2遺伝子多型を背景因子とし、治療による代謝産物ならびに口腔環境因子の変化をアセトアルデヒドを含む呼気口内気体分析から、口腔粘膜の変化を狭帯域光観察内視鏡による粘膜表層の毛細血管と粘膜微細模様から、解析する。口腔粘膜炎のみならず骨折などの骨関連有害事象の予測可能性についても検討し、予防に活かせる周術期乳癌患者への予知的口腔支援システムの構築を目指す。初年度は倫理委員会での承認後、乳腺外科の過去の患者情報から処方歴とその予後についての情報を得ること、すなわちタキソイド系抗悪性腫瘍剤のアルコールフリー症例について骨折ならびに予後についての情報を集積し分析することが目的であった。「乳がん患者のアルコール感受性と骨転移・骨関連事象に関する症例対象研究」という課題名で東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会へ研究計画を申請し、承認を得た（受付番号：２０１８－３－２０）。承認後、タキソイド系抗悪性腫瘍剤のアルコールフリー症例についての情報を集積中である。また、呼気・口内気体中のアセトアルデヒド分析装置として、センタータイプのガスクロマトグラフを購入し、分析の準備を開始している。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 3: Progress in research has been slightly delayed. Reason 初年度は過去の症例についての症例対象研究について倫理委員会での承認を得た後、乳腺外科の過去の患者情報から処方歴とその予後についての情報を得ることを目的としていた。タキソイド系抗悪性腫瘍剤のアルコールフリー症例について骨折ならびに予後についての情報を集積し分析し、その情報を基盤として、次年度以降は現在の乳がん患者のALDH2遺伝子多型と顎骨壊死、骨折などの骨関連事象発現、呼気分析との関係について解析する予定であった。「乳がん患者のアルコール感受性と骨転移・骨関連事象に関する症例対象研究」という課題名で東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会へ研究計画を申請したが、最終承認を得たのは２０１８年１２月下旬であった（受付番号：２０１８－３－２０）。承認後、東北大学病院ITセンターなどから情報の集積を開始している。その情報を基盤として、次年度以降は乳がん患者のALDH2遺伝子多型と顎骨壊死、骨折などの骨関連事象発現、呼気分析との関係について解析する予定であったが、今回は症例対象研究を始めたばかりのため研究結果としての情報が不足しており、次年度以降予定していたコホート研究の倫理委員会申請には着手できていない。一方で、ALDH2遺伝子多型と関連する可能性を持つアセトアルデヒドの呼気・口内気体分析については、アセトアルデヒド分析装置を購入し、測定条件などについて検討を開始している。これまでの研究で健常者の唾液由来細菌叢からアセトアルデヒド産生を確認しているので、長期乳がん治療が口腔環境に及ぼす影響について、唾液中由来の細菌、唾液自体の性状などを口腔環境因子の候補として検討中である。
Strategy for Future Research Activity	初年度は過去の症例についての症例対象研究について倫理委員会での承認を得た後、乳腺外科の過去の患者情報から処方歴とその予後についての情報を得ることを目的としていた。タキソイド系抗悪性腫瘍剤のアルコールフリー症例について骨折ならびに予後についての情報を集積し分析し、その情報を基盤として、次年度以降は現在の乳がん患者のALDH2遺伝子多型と顎骨壊死、骨折などの骨関連事象発現、呼気分析との関係について解析する予定であった。「乳がん患者のアルコール感受性と骨転移・骨関連事象に関する症例対象研究」という課題名で東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会へ研究計画を申請し（受付番号：２０１８－３－２０）承認されたので、東北大学病院ITセンターなどから情報を収集し、その集積を開始している。対象症例数が多いため乳腺外科と連携しながら効率的な集積を図る。集積情報の確認、分析を行い、その情報を基盤として、乳がん患者のALDH2遺伝子多型と顎骨壊死、骨折などの骨関連事象発現、呼気分析との関係についてコホート研究計画を作成、倫理委員会に申請し承認を目ざす。その間、ALDH2遺伝子多型と関連する可能性を持つアセトアルデヒドの呼気・口内気体分析について、購入したアセトアルデヒド分析装置で測定条件などについて検討を重ねる。また、長期乳がん治療が及ぼす代謝産物あるいは口腔環境の変化について指標となりうる因子の候補を検討していく。
Causes of Carryover	東北大学大学院歯学研究科研究倫理委員会へ研究計画を申請したが、最終承認を得たのは２０１８年１２月２７日であった（受付番号：２０１８－３－２０）。そのため研究の基盤となる症例対象研究の情報集積・分析に遅れが生じ、その後必要と思われる研究補助者への謝金や各種分析装置の消耗品への支出が発生しなかった。次年度は、研究補助者への謝金、呼気・口内気体分析装置あるいはNarrow Band Imaging (NBI) 内視鏡での消耗品、口腔粘膜スワブ検査キット、検査料金、学会旅費などへの支出を計画している。