• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2018 Fiscal Year Research-status Report

疫学研究に適用可能な,唾液の液体分析法による多検体自動処理の口臭検査法の開発

Research Project

Project/Area Number 18K09912
Research InstitutionThe University of Tokushima

Principal Investigator

伊藤 博夫  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (40213079)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 佐野 茂樹  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (20226038)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords予防歯学 / 口臭 / 歯周病 / 有機化学 / ハイスループット分析 / オルトフタルアルデヒド(OPA) / メタンチオール(メチルメルカプタン) / 液体クロマトグラフィー
Outline of Annual Research Achievements

口臭は多くの人々が気に掛けている問題であるにもかかわらず,自分の口臭は自覚することができず,また他人に嗅いでもらって判定されることには大きな抵抗があることから,客観的な口臭の機器分析のニーズが存在する。しかしながら,現行のガス分析による口臭検査は時間と設備の制約を大きく受け,多検体処理が困難であり,集団検診へ応用することは不可能である。本研究の目的は,ガス分析による口臭の機器検査の短所を解決すべく,ガス(呼気)ではなく液体(唾液)を検体として使用する高精度・高感度な口臭検査法を開発することである。すなわち,口臭の原因となる揮発性硫黄化合物のうち,歯周病による病的口臭との深い関連性が示唆されているメチルメルカプタン(別名メタンチオール)を当面のターゲットとし,液相におけるメチルメルカプタンの有機化学的な間接検出法を開発に挑戦する。
本研究チームはこれまでに,汎用のアミノ酸分析法であるオルトフタルアルデヒド(OPA)法に着目し,分析対象をチオール類としたOPA変法を考案した。すなわち,OPA変法の反応生成物であるイソインドールの蛍光を測定することにより,汎用機器である高速液体クロマトグラフィーを用いる高感度分析の可能性を報告した。しかしながら,イソインドール類は環内にある窒素原子上の非共有電子対が空気中の酸素で酸化され容易に分解するため,OPA変法を口臭検査法として応用するためにはイソインドール類の安定化が必須である。そこで,イソインドールの窒素原子上の側鎖に,かさ高いアルキル置換基を導入することで,立体保護効果により安定化された新しいイソインドール誘導体が合成できることを明らかにした。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

研究代表者と分担者は,これまでの共同研究でアミノ酸分析法として汎用されているオルトフタルアルデヒド(OPA)法に着目し,分析対象をチオール類としたOPA変法を考案した。OPA法,およびOPA変法では,反応の結果生成するイソインドール誘導体が蛍光を発するため,高速液体クロマトグラフィーにより高感度分析することが可能である。しかしながら,イソインドール類は環内にある窒素原子上の非共有電子対が空気中の酸素で酸化され容易に分解するため,反応後はできるだけ速やかに測定を行うことが必須であり,口臭検査法として実用化するための大きな障害となっていた。そこでイソインドール誘導体の安定性向上を検討した結果,OPA法のアミン成分としてトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)由来の嵩高いアミンを用いることで,イソインドールの安定性を単離精製が可能なまでに飛躍的に向上させることが明らかとなった。
先ず,イソインドール誘導体のヒドロキシ基を保護することで,安定なイソインドール誘導体の合成を検討した。すなわち,OPAとn-プロパンチオール,トリスの3成分縮合反応で得られたイソインドール誘導体に安息香酸無水物とピリジンを加えて反応させ,3つのヒドロキシ基がベンゾイル化されたイソインドール誘導体を得た。また,パルミチン酸無水物を用いて同様の反応を行い,3つのヒドロキシ基がパルミトイル化されたイソインドール誘導体を得た。こうして得られたイソインドール誘導体生成物の安定性を判定した結果,イソインドール反応生成物の窒素原子上にかさ高いアルキル基を導入することで反応生成物の安定化が可能になるという研究仮説を実証することができた。

Strategy for Future Research Activity

今後は,トリスの3つのヒドロキシ基をあらかじめ化学修飾することで,チオール捕捉反応剤にに有効なかさ高い一級アミンを探索する計画である。分子設計の方向性として,トリス分子の3つのヒドロキシ基をベンジル基で保護するアミン,側鎖の炭素鎖を長くするもの,あるいはそのエステル体等の合成を検討する。分子設計のための実験過程では,n-プロパンチオールを標的チオールとして反応を行い,反応生成物の安定性を各種温度の保存条件においてプロトンNMRスペクトルの変化に基づき判定する。もしも予想通りの結果が得られない時は,OPAの代わりに2,3-ナフタレンジアルデヒドを用い,立体保護効果にπ電子系拡張による安定効果を加味したイソインドール誘導体の合成を検討する。
OPA法に基づく有機化学反応系の確立は,一歩一歩着実に進行してはいるものの,上述のようにまだ検討が必要な課題が残っており,実際のヒトの口臭を唾液検体で測定する段階には至っていない。早い段階で中等度以上の口臭を有する歯科患者2~3名に唾液提供の協力を依頼して,唾液中チオールの検出を試みるパイロットスタディーを実施する予定である。唾液提供者の口腔内の健康状態(歯周病,う蝕,デンタルプラーク付着,舌・口腔粘膜病変等)を通常の歯科臨床的に確認する。センサーチップクロマトグラフィー(2018年度予算で購入した口臭測定器・オーラルクロマ。2018年度内に測定系は確立できた。)を用いて呼気ガスの直接分析を並行して実施し,唾液の有機化学的間接測定との相関性を検討する。唾液検体の採取・保管条件についても,厳密な検討を行って至適化する。

Causes of Carryover

理由:予定していたヒト口腔の歯科健康診査に係る消耗品器具の使用量が少なかったこと等で次年度使用額が生じたが,本年度の予算182万円に対して使用額は約175万円で、執行率にすると96.1%であり、次年度使用金額7万円は,概ね計画通り執行したと言えるものと考える。
使用計画:1年目の計画のわずかな遅れを取り戻す中で当初計画に沿って1年度未使用分を使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results)

  • [Journal Article] Synthesis of Sterically Protected Isoindoles from ortho-Phthalaldehyde.2018

    • Author(s)
      Nakao M, Nishikiori N, Nakamura A, Miyagi M, Shibata, N, Kitaike S, Fukui M, Ito, H-O, Sano, S
    • Journal Title

      SynOpen

      Volume: 2 Pages: 50-57

    • DOI

      10.1055/s-0036-1591932

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Applications of a novel biodetection system to saliva using protein fingerprints with data processing.2018

    • Author(s)
      Tominaga Y, Usui K, Hirata A, Ito H-O, Nokihara K
    • Journal Title

      Bioorg Med Chem.

      Volume: 26 Pages: 3210-3216

    • DOI

      10.1016/j.bmc.2018.04.049

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2019-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi