2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation of genetic counseling role-play curriculum with rubric table
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18K09997
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
三宅 秀彦 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (40297932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蒔田 芳男 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20271778)
浦野 真理 東京女子医科大学, 医学部, 臨床心理士 (20752752)
四元 淳子 国際医療福祉大学, 大学院, 講師 (30553648)
櫻井 晃洋 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70262706)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 教育評価 / 模擬面接 / ルーブリック |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、ロールプレイ教材の収集を実施し、その内容について検討を行った。 2018年12月時点で実際に教育を行っている臨床遺伝専門医制度の認定研修施設90施設、および認定遺伝カウンセラー認定養成課程15施設を対象に、過去3年間に卒前もしくは卒後教育目的で使用した遺伝カウンセリングRP事例を収集した。 105施設中15施設からRP事例の提供があり(回収率14.2%)、計60事例が得られた。事例で扱われた疾患・状態は25種類に及んでおり、最も多かったのは遺伝性乳がん卵巣がん症候群が10事例、次いでDuchenne型筋ジストロフィーが8例、3番目に多かったのがdown症候群であり、遺伝性疾患の中でも頻度の高いものであった。その一方で、1事例しか設定されていなかった疾患も17種類見られ、そのほとんどが希少疾患であった。事例で扱われた場面の数は、1回のみの面接機会から、複数の場面から構成されたものまで幅広く、年単位の長期の時系列で設定されたものまであった。提供された事例の意図する目標としては、現病歴にとどまらず家系までを含めた情報収集、疾患・病態の説明、遺伝学的検査の説明、心理社会的支援、フォローアップ/サーベイランスの提案、が抽出された。また、遺伝性疾患の確定診断だけでなく、出生前診断、保因者診断、発症前診断といった臨床遺伝診療特有の診断への対応も要求されていた。 さらに事例を追加するために、遺伝カウンセリングロールプレイに関するセミナーを実施している臨床遺伝関連学会にも依頼し、事例を追加した。 今回の結果より、遺伝カウンセリングロールプレイにおいて取り扱われる事例では、比較的頻度の高い疾患が多く選択されているが、診療機会の少ない希少疾患も取り上げられていた。遺伝医療のロールプレイでは、診療だけでなく、心理社会的支援にまで面接の練習の対象となっていることことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、事例の収集と解析までに至ることはできたが、当初目標であった標準的な事例の作成には至っていない。その理由の一つとして、事例の収集の回収率を上げるために、オンラインでの事例投稿を可能にする、説明文書をわかりやすくするなどの工夫をしたが、その準備に時間がかかったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度(平成31年度)は、収集した事例の分類とコンピテンシーの抽出を継続して行い、それを元に標準的な事例を10事例程度作成する。これを元に、コンピテンシーを評価観点として、評価基準を作成し、研究代表者と作成担当の研究分担者が、事例毎のルーブリックを作成する。作成したルーブリックを遺伝カウンセリング模擬面接の評価に使用し、この行った評価結果を元に、ルーブリックの信頼性、妥当性を、評価担当の研究分担者と研究協力者が評価する。これらの作成・評価には、模擬面接の評価者だけでなく、被評価者も参加する。ここで問題が無ければ初版完成とし、問題があれば再検討を行い、試用、再評価を行う。完成したルーブリックは、まとめてルーブリック集とする。 令和2年度では、前年度までに完成した、教材(事例集)、コンピテンシー、評価法(ルーブリック)によるカリキュラムを、申請者以外の医療者や医学生、ステークホルダーである患者団体などから評価を受けて、カリキュラムを完成させる。作成したカリキュラムは、事例の提供を依頼した施設などに配布し、啓発を図ると共に、意見聴取を行う。
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Causes of Carryover |
事例集を保存するためのキャビネットの購入を検討していたが、事例の収集を、研究対象者の利便性を高めるためにクラウドを利用したオンライン投稿としたため、設備費が不要になったこともあり、一部予算の執行が不要となった。さらに、研究における事例集の作成が遅れたことも次年度使用額が0より大きくなった原因である。 令和元年度では、当初計画のように事例集およびルーブリックを作成し、その評価を行うために予算を執行していく。
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