2020 Fiscal Year Research-status Report
高血圧による非アルコール性脂肪性肝炎発症・進展とその作用機序の解明
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18K10033
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
内藤 久雄 金城学院大学, 生活環境学部, 教授 (90547556)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プロテオミクス / 肝線維化 / 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
10週齢のWKY(正常血圧)、SHR(高血圧)、SHRSP5/Dmcr(高血圧)にcontrolまたはHigh-fat-cholesterol(HFC)飼料を8週間摂取させ、採取した肝臓サンプルのホモジネートをRIPA bufferで作成し、アルキル化、酵素消化などを行い精製(各群4匹)した。精製産物を0.1% Trifluoroacetic Acidsに溶解し、nano LC-MS/MS, Orbitrap Fusionで測定した。そのうち一番外れ値を外した各群3匹によるプロテオーム解析を行った。 測定により、2665種類の蛋白を検出した。各群間の主成分分析により大きな差を認め、特に高血圧群と正常血圧群での差が大きく多数の有意な差を認めた蛋白を検出できた。 病態と類似しているものとして近年NASH、肝がんのマーカーとして注目されているCD44がHFC摂取により増加(HFC/SP>100)したが、線維化のないWKYでも同様に増加(>100)していた。次に、薬物代謝に関連するものとして、Aldh3b1、Cyp3a1,2、Cyp4a12などを検出した。 最後に、Cyp7a1蛋白発現と相関のある蛋白として、グルクロン酸抱合関連のUgt2b2、小胞体ストレスに関連するAsparagin synthetase、ケモカイン関連のCXCL10などを検出した。今後はこれらの蛋白発現量をWestern Blot法で、遺伝子発現量を定量リアルタイムPCR法で測定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に所属がかわり、またコロナ感染症による非常事態宣言により引っ越しが完了しなかった。そのため、年度内に新規実験室立ち上げができず、今年度はPCによるプロテオーム解析のみとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
プロテオーム解析により抽出した蛋白:1) 高血圧とCyp7a1蛋白発現と相関のあった蛋白 2) NASH病態との相関のあった蛋白について、各群間のWestern Blot法による蛋白発現測定や定量リアルタイムPCR法によるmRNA発現を測定し、その結果から肝炎・線維化と高血圧に関連するメカニズムの解析を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に所属がかわったが、コロナ感染症による非常事態宣言発令もあり、実験サンプルの移動が外出自粛、オンライン対応、他大学訪問制限などにより早期に行えなかった。そのため、金城学院大学の実験室の整備も間に合わず、PCによるプロテオーム解析の蛋白抽出のみとなり、次年度に実験を行うこととなった。 2021年度では、プロテオーム解析から検出した蛋白のいくつかの発現をWestern Blot法で確認予定である。
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