2018 Fiscal Year Research-status Report
Experimental evluation of pulmonary effect of organic chemicals in working environment
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18K10035
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
大藪 貴子 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 講師 (20320369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明星 敏彦 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00209959)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 架橋型アクリル酸系ポリマー / 吸水能力 / 化学組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、市販の8種の高吸水性ポリマーを購入し、原粉から発生する可能性のある吸入性の粉じんをフィルター上に採取し、電子顕微鏡を用いてその形状や化学組成を得た。また、各ポリマーの吸水能力を生理食塩水の吸水量をJIS K7223に則って測定した。 用いた試料の形状、化学組成は炭素、酸素、ナトリウムの不定形および球形の比較的大きな粒子のまわりに、ケイ素、アルミニウム、亜鉛などの粒子が付着する構造であった。発生する吸入性粉じんの濃度は比較的低いと考えられた。また吸水能力試験では、生体内の吸水量が重要であるため、生理食塩水の吸水量を測定したが、ポリアクリル酸系高分子化合物の中でも製品により吸水量には大きな違いがあることがわかった。また、用いた試料の吸水量は1時間の浸漬でほぼ飽和に達していたため、JISに設定のない5分間の浸漬試験を行ったところ、8種の試料は5分間で飽和量のほぼ80から90%の量を吸水していた。このことから吸水速度は非常に速いと考えられ、いったん肺胞内に沈着すれば、肺胞表面の水分を吸収し、膨潤することにより、マクロファージに貪食、排泄されることなく、肺に長期間滞留する可能性も高いと考えられた。 これまであまり注目されてこなかった有機系の粉じんも、その物質のもつ物理化学的特性や機能性により、暴露濃度によっては労働者に有害となることが考えられたため、充分な注意が必要である。来年度は短期間の吸入曝露試験を考えているため、この8種の粉じんの中から1種を選定し、十分な量の吸入性粉じんを発生させることのできる発生方法を検討する予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の目的であった架橋型アクリル酸系ポリマーの物理化学的特性を、購入が可能であった8種類について検討することができ、来年度の吸入曝露試験の検討が可能になった
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Strategy for Future Research Activity |
購入可能であった8種類の架橋型アクリル酸系ポリマーの吸入曝露試験について検討する。吸入性粒子の割合が多い粒子を用いて、十分な濃度の発生が可能な発生方法を検討し、その後、ラットに対して吸入曝露試験を行う。
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Causes of Carryover |
平成30年度でアンダーセン粒度分布測定装置を購入予定だったが、試験に供した8種類の試料は、吸入性粒子の割合が低かったため、吸入曝露試験では、高濃度の粒子を発生させることが必要となった。そのため、急遽、柴田科学製のダストフィーダーを購入しようとしたが、納品が平成30年度に間に合わなかった。そのため、2019年度すぐに購入する。
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