職業性ストレスがおよぼす健康関連行動や健康状況への長期的影響

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K10092
• Research Institution: Kanazawa Medical University
• Principal Investigator: 石崎 昌夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10184516)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 櫻井 勝 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90397216)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 職業性ストレス / 健康習慣 / 健康状況 / 退職者

Outline of Annual Research Achievements

（１）Job demands-controlモデルで評価した職業性ストレス調査結果(1996年)と同年度受診の健康診断結果との関係をロジスティック解析で調べた。目的変数をBody Mass Index、血圧、耐糖能(HbA1c)、飲酒習慣、喫煙習慣または運動習慣とし、説明変数を仕事要求度、仕事コントロール、職場サポートとして各総合得点を3分位に分け、それぞれのオッズ比を性別・年齢、職種を調整して求めた。また、仕事要求度を仕事コントロールで除した値を仕事ストレインと定義して、同様に値を3分位にしてオッズ比を求めた(対象解析数6628件から7065件、18歳から69歳)。このなかで、運動習慣(I:1回以下/月、II:2回以上/月)と仕事コントロール・仕事サポート・仕事ストレインの関係が有意に認められた。仕事コントロールが“低い群”に比べて、“中間の群”と“高い群”のオッズ比はそれぞれ1.16(95％CI：1.02－1.32)、1.47(1.28－1.69)であった。また、同様に仕事サポートが“低い群”に比べて、“中間の群”と“高い群”のオッズ比はそれぞれ1.30(1.15－1.47)、1.23(1.09－1.39)であった。また、仕事ストレインが“低い群”に比べて、“中間の群”と“高い群”のオッズ比はそれぞれ0.80(0.71－0.91)、0.82(0.72－0,93)であった。すなわち、職業性ストレスが良好だと考えられる群(仕事コントロールが高い群、仕事サポートが高い群、仕事ストレインが低い群)で運動習慣が多いという結果だった。
（２）2019年度にその事業場の退職者団体に加入している人(退職者の約95％)に対して、近況の調査を行った。結果は、返信がありかつ同意を得た者は2570名、死亡31名であった(調査票全発送の79.9％)。うち、脳卒中既往17名、心臓病既往76名であった。節酒・非喫煙・減塩・野菜摂取・運動・体重測定・朝食摂取・間食を少なくといった健康習慣を意識している者は2432名であった。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

・1996年度の職業性ストレス調査と同年度の健康診断データとの横断的調査を行った。

・対象退職者に対して、健康状態や健康習慣について郵送調査を行い、死亡を含む約80％の有効な返送があった。

Strategy for Future Research Activity

・2002年度の職業性ストレス調査と同年度の健康診断データとの横断的調査を行う。
・退職者団体組織に死亡された方を確認のうえ、2019年度退職者健康調査データベースを完成する。
1996年度及び2002年度職業性ストレス調査と2019年度退職者健康調査のデータ結合を行い(対象事業場の担当者が対応)、その後、名前・住所を削除されたデータから職業性ストレスと退職後の健康状態の関係を検討する。
・当初、就労時の診断書(1週間以上の欠勤を生じた疾患)取得を目指したが、個人情報保護の観点より対象事業場から困難である旨を伝えられた。ただ、就労時死亡に関するデータ提出は検討するという回答であった。

Causes of Carryover

理由）2019年度退職者健康調査結果の返送が2020年度になった。
使用計画）2019年度退職者健康調査に回答のあった人に、集計結果とお礼(健康に関連するパンフレットを含む)を返送するための書類整理費用やパンフレット代、郵便代が必要である。